鍼灸師の給料は?月収、賞与(ボーナス)年収などを調査
今回の 教えてグッピー鍼灸師 では、鍼灸師の年収や月給、初任給、賞与、手当などについて見ていきます。鍼灸師の給料についての公式の統計情報はありません。そこで2つの統計情報にもとづき、鍼灸師の給料を解説します。
主に(1)東洋療法学校協会によるアンケート調査(以下、協会アンケート)および(2)厚生労働省の賃金構造基本統計調査の情報を紹介します。
(1)協会アンケート※ | (2)賃金構造基本統計調査 |
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・東洋療法学校協会 (2021年) ・調査対象は、鍼灸師、はり師、あん摩マッサージ指圧師(2,348名) ・5年ごとに実施 | ・厚生労働省(2023年) ・鍼灸師、はり師、鍼灸師、柔道整復師など(7,178名) ・毎年実施 |
※(1)協会アンケート:第5回鍼灸師・はり師及びきゅう師免許取得者の進路状況アンケート調査報告書
2つの情報はいずれも鍼灸師のみの情報ではなく、ほかの関連する職業を含めた統計になっています。加えて、調査対象者や調査規模などの調査手法などが異なっているため、集計結果にも違いがあることにご留意ください。
令和5年度の賃金構造基本統計調査によると、鍼灸師の給料相場は以下のようになっています。
鍼灸師の給与相場
鍼灸師の給料相場 | |
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年収 | 459万2,600円 |
月給 | 31万8,500円 |
賞与・ボーナス | 77万600円 |
初任給 | 22万5,700円 |
時給 | 1,645円 |
「令和5年賃金構造基本統計調査」より
目次
鍼灸師の初任給
賃金構造基本統計調査によれば鍼灸師の初任給は、月給で約22万5,700円、年収では273万8,200円になります。協会アンケートでは初任給についての情報はありません。
鍼灸師の月収
賃金構造基本統計調査によれば月収は31万8,500円です。協会アンケートによれば、鍼灸師の月給は19万2,000円が相場のようです。ただし、勤務時間や開業状況などさまざまな回答者の平均月収となります。実際のところは就業状況によって金額に差があり、たとえば、あん摩マッサージ指圧師およびはり・きゅう・柔道整復師など複数の分野で施設開設しているグループでは平均月収が27万6,000円となります。
求人の中には月収50万円を超える募集もあります。鍼灸師の給与体系では完全歩合制を採用するケースもあり、こうした条件を選べる施設もあります。歩合制とはいわゆる成果報酬型で、仕事の成果や売り上げに応じて給与が支払われる仕組みです。毎月決まった給与額ではなく、毎月給与額が変動します。求人を確認する際は、給与体系についても確認するとよいでしょう。
年齢層別の月収
鍼灸師の月収は年齢によってどのように変化するのでしょうか。
月間の労働時間がおよそ160時間の常勤就業者を調査した賃金構造基本統計調査では、20代〜40代までゆるやかに上昇し55歳~59歳で収入のピークを迎える結果になっています。
協会アンケートとは集計方法が異なるため、金額や分布が異なります。
年齢別月収 賃金構造基本統計調査
年齢 | 年収 |
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20~24歳 | 21万1,700円 |
25~29歳 | 24万4,200円 |
30~34歳 | 27万7,400円 |
35~39歳 | 29万7,600円 |
40~44歳 | 31万1,000円 |
45~49歳 | 33万3,800円 |
50~54歳 | 34万9,600円 |
55~59歳 | 35万9,300円 |
60~64歳 | 33万2,600円 |
65~69歳 | 29万9,900円 |
2023年 賃金造基本統計調査「その他の保健医療従事者」より集計 集計には鍼灸師、はり師、鍼灸師、柔道整復師などが含まれる
また以下の図は、協会アンケートにもとづく年齢層別の平均月収です。アンケート回答者の勤務時間や施設開設状況はさまざまです。
21〜39歳では20万円以上で、40〜49歳で18万6,000円です。50歳以上では大きく収入が下がり、12万9,000円となっています。
年齢別月収(協会アンケート)
年齢 | 月収 |
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21~24歳 | 20万1,000円 |
25~29歳 | 22万3,000円 |
30~34歳 | 21万6,000円 |
35~39歳 | 21万9,000円 |
40~49歳 | 18万6,000円 |
50歳以上 | 12万9,000円 |
鍼灸師・はり師及びきゅう師免許取得者の進路状況アンケート調査報告書
施設開設者と被雇用者の月収分布
鍼灸師は医療行為ではないため自分一人で施術ができることから、独立して施術所を開設する人が多いという特徴があります。厚生労働省のホームページでは鍼灸師の63.3%が、東洋療法学校協会のアンケート回答者の32.6%が開業やフリーランスなどの形態で働いているようです。
以下のグラフは、施設開設者と被雇用者(一般的な従業員)の月収を比較したものです。この結果によれば、施設開設者の39.4%は月収10万円以下と答えている一方、月収30万円以上の割合も被雇用者と比べ多いことがわかります。
個人事業主や法人といった事業形態にもよると思いますが、一般的には独立開業したほうが働き方・業務時間などが多様なため、収入もそれなりの幅があると言えます。またこのアンケートでは勤務形態や勤務時間に関する情報はなく、パートやアルバイトも含まれていると考えられます。
施設開設者と被雇用者の月収分布
施設規模別の年収
一般的には大きな組織になるほど給与が高くなる傾向にあります。賃金構造基本統計調査によれば、比較的小規模な施設に比べて、施設規模が1,000人を超えるほど高い傾向にあるようです。
施設規模別の年収
令和5年度 賃金構造基本統計調査「その他の保健医療従事者」より集計。集計には鍼灸師、はり師、鍼灸師、柔道整復師などが含まれる
鍼灸師の年収
賃金構造基本統計調査によれば、鍼灸師の平均年収は約 459 万2,600 円となっています。協会アンケートでは、年収に関する情報はありませんでした。
鍼灸師の賞与・ボーナス
賃金構造基本統計調査によれば、鍼灸師の賞与は約 77 万 600 円です。協会アンケートでは、年収に関する情報はありませんでした。
鍼灸師の時給
賃金構造基本統計調査によれば、鍼灸師の時給は約1,645円です。またGUPPYの募集では1,200〜1,600円の求人が多い傾向があります。
公務員の給与
鍼灸師では、公務員の求人は多くはありません。国公立の特別支援学校や国立障害者リハビリテーションセンターなどで教育者としての求人などがあります。その場合は国家公務員の給与規定が適用されます。
手当・福利厚生
鍼灸マッサージサービスを提供している企業などでは社会保険が完備(社保完)されており、通勤手当、残業手当のほか、家賃補助などの住宅手当、役職手当などがつく場合があります。こうした手当は勤務先によって異なりますので、十分に確認する必要があります。また非常勤の場合は会社の社会保険がなかったり、個人で加入したりすることもあります。独立している場合は一般的な意味での手当や福利厚生の概念なく、任意で加入することになります。