歯科医師になるには?資格の取り方や臨床研修の期間
歯科医師になるには、歯科医師国家試験に合格する必要があります。歯科医師国家試験は、高校卒業後に大学の歯学部に入学し、6年間の決められた課程を修了・卒業することで受験できます。国家試験合格後は、歯科医師として働くために、決められた病院や歯科医院で1年間の臨床研修を受けなければなりません。
大学の歯学部は、全国に29あります。国立が11学部、公立が1学部、私立が17学部です。歯科医師国家試験は1年に1回、1月の終わりもしくは2月のはじめに2日間かけて実施されます。合格率は60%台で、難易度の高い試験です。
目次
歯科医師に必要な試験・資格
歯科医師の資格は、歯科医師法で定められた国家資格です。6年制の歯学部で規定の課程を修了し、国家試験に合格することで、歯科医師の免許が取得できます。歯科医師として診療業務を行うためには、国家試験合格後に指定の医療機関で臨床研修を1年間行うことが義務付けられています。
歯科医師国家試験は、年1回、1月の終わりから2月の初め頃に2日間かけて実施されます。合格発表は3月の半ばです。ここ数年の合格率を見ると、63〜66%で推移しており、難易度の高い試験です。2021年の試験では、3,284人が受験して2,123人が合格。合格率は64.6%でした。新卒者のみのデータを見ると、2,103人が受験して1,687人が合格しており、合格率は80.2%と高い水準です。落ちてしまっても、翌年以降の試験で再挑戦ができます。
歯科医師国家試験合格者数と合格率
厚生労働省発表資料より
歯学部のある大学・学費
歯科医師になるためには、大学の歯学部で6年間学ぶ必要があります。歯学部は全国に29学部あり、国立が11学部、公立が1学部、私立が17学部です。私立の2大学が、歯学部をそれぞれ2つ設置しているため、27大学29学部となります。歯学部は18の都道府県にあります。2020年度の入学定員の合計は、2,696人です。
歯学部の学費は、6年間の合計で国公立大学は350万円程度、私立大学は1,900万円から3,200万円程度と幅があります。教材費や実習費は、学費とは別になる大学もあり、必要な費用がさらに増えるケースもあります。多くの大学では、奨学金制度を整備しています。
学部数・入学定員・学費
大学 | 学部数 | 入学定員 | 学費 |
---|---|---|---|
国立 | 11 | 562 | 約350万円 |
公立 | 1 | 95 | 約350万~373万円 |
私立 | 17 | 2,039 | 約1,900万~3,200万円 |
入学定員・学費は2020年度の歯学科(歯科医師養成学科)のもの
就職先
歯科医師の就職先の97%が病院や歯科医院などの医療機関です。医療機関の中では、歯科医院(デンタルクリニック)が全体の85.9%を占め、11.1%が病院に勤務しています。歯科医院で働く歯科医師のうち、65%が自分で歯科医院を経営しています。そのほか、公務員として国や自治体で口腔衛生の政策立案を担ったり、介護施設で高齢者の口腔機能を管理したり、少数ですが歯科治療に関連する企業で働く人もいます。
歯科医師の年収・月給など給料
歯科医師の給料は、平均年収が787万5,100円、月給が各種手当込みで59万4,800円、賞与・ボーナスは73万7,500円です。年齢を重ねるにつれて年収が上がっていく傾向にあり、50代の平均年収は1,000万円を超えています。同調査は、2020年に10人以上在籍している医院・病院などを対象にした厚生労働省の結果です。
歯科医師の給料相場 | |
---|---|
年収 | 787万5,100円 |
30代の年収 | 601万9,400円 |
40代の年収 | 974万2,600円 |
50代の年収 | 1142万3,500円 |
月給 | 59万4,800円 |
賞与・ボーナス | 73万7,500円 |
適性・向いている人
歯科医師の適性は、医療者として高い倫理観を持ち、人の立場に立って寄り添える人が向いています。治療は、細かい作業を苦にせず丁寧に進められて、粘り強く集中力を保てる人が向いています。また、患者やメンバーに対してわかりやすく説明ができるコミュニケーション力、症状や悩みを聞き出す力も必要です。常に最新の歯科医療にアンテナを張り、就職した後も常に学び続けられることも適性のひとつです。
倫理観・人に寄り添う力
歯科医師は、患者の命と健康を守ることを第一に考え、患者の価値観やプライバシーを尊重する意識が大切です。また、患者それぞれの事情に配慮し、その人の立場に立って診療するため、人の身持ちに寄り添う力があることも重要になります。
慎重さ・丁寧さ
歯科治療は、非常に細かい作業が多く、歯は一度削ったら元に戻すことはできないので、間違いは許されません。そのため、歯科医師には正確で繊細な作業を行える丁寧さや慎重さが必要です。実際に手を動かす治療だけでなく、治療方針を決めたり、患者に説明をしたりするときにも、丁寧に進めることは大切です。
粘り強さ
歯科治療は、細かい作業を長時間続けることも少なくありません。また、一人の患者の治療時間が長くなくても、1日に何人もの患者を診察し、治療を何度も行うこともあります。どんな時も粘り強く集中力をもって治療を行う力も必要とされます。
コミュニケーション力
治療を行う技術はもちろん、患者に対してしっかり説明できることも大切です。治療は歯科医師が一方的に行うものではなく、患者が納得して受けることで成立するものです。また、患者の病状や生活習慣を正確に把握するためには、聞き出す力も必要です。不安な患者に寄り添うためには、安心してもらえる振る舞いも大事になります。
また、歯科診療は歯科衛生士や歯科助手、歯科技工士などとチームで行うものです。メンバーがそれぞれの力を発揮できるように、明確に指示を出したり、仕事上で困ることがあれば相談して解決できるコミュニケーション力も大切です。
向上心・勉強熱心さ
歯科医師の免許を取得したら、そこで終わりではありません。歯科医療は常に進化していて、よりよい治療を行うためには、最新の治療方法や医学情報を勉強することが必要です。診療時間外にも、勉強会に出席したり、発表された論文を読んだり、自分の知識と技術を伸ばしていく向上心と、熱心に勉強し続ける意欲が重要です。
経営力・リーダーシップ
歯科医師は、開業して自分で歯科医院を運営する人が多い職業です。開業するのであれば、歯科治療の知識や技術だけでなく、経営力も必要です。経営する上では、お金の管理はもちろん、人のマネジメントも欠かせません。一緒に働く歯科医師や歯科衛生士、歯科助手、歯科技工士など、雇った人材が気持ちよく働き、自分の力を発揮できるような環境をつくり、リーダーシップを発揮することが求められます。
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