歯科医師の国家試験【2025年】日程、合格基準、これまでの合格率
歯科医師国家試験は、合格すると歯科医師免許が取得できる国家試験です。試験は年1回、1月下旬から2月上旬の土日に実施され、合格発表は3月中旬です。2025年実施の歯科医師国家試験は、2月1日(土)、2日(日)の2日にわたって行われます。
6年間学ぶ歯学部の課程を修めて卒業すると、受験資格が得られます。全国8都道府県で大学や会議場に設置されます。ここ数年の合格率は65%程度で推移しています。
2024年の試験では、3,117人が受験。合格者は2,060人、合格率は66.1%でした。
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歯科医師国家試験 | |
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試験日 | 年1回 例年1月下旬から2月上旬の2日間 |
受験資格 | 歯学部(6年間)を卒業 |
受験料 | 18,900円 |
試験会場 | 全国8都道府県に設置 |
合格発表 | 3月中旬 |
合格基準 | 受験者の成績により毎年変動 |
合格率 | 61〜66%程度 |
目次
歯科医師になるまで
歯科医師になるには、歯科医師国家試験に合格することが必要です。歯科医師国家試験の受験資格は、6年間の歯学部の課程を修めて卒業することで得られます。国家試験に合格して免許を取得した後、病院や歯科医院など、決められた研修施設で1年以上の臨床研修を受けることが義務付けられています。歯科医師として就職ができるのは、臨床研修を終えた後です。
受験資格
歯科医師国家試験には受験資格があり、独学で勉強しても受験することはできません。高校を卒業した後、6年間の歯学部に通い、必要なカリキュラムを全て修めて卒業すると(卒業見込み含む)、受験資格を得ることができます。
外国の歯科大学や歯科医学校を卒業したり、外国で歯科医師免許を取得した人も、厚生労働省が個別に審査し、受験資格を満たしていると認定されると、受験資格を得られます。
国家試験
国家試験は年1回、1月下旬から2月上旬の土日に行われます。試験は午前と午後に2時間15分ずつあり、2日間で合計試験時間は9時間に及びます。すべてマークシート方式で、実技試験はありません。合格発表は3月中旬に行われます。受験料は18,900円です。
第1回歯科医師国家試験は、1947年4月に行われました。当時はマークシートではなく記述式の試験でした。1985年までは春と秋の年に2回行われ、1986年以降は年に1回の実施となりました。試験日や試験会場などは、前年の7月に正式発表となり、概要は厚生労働省のホームページで確認することができます。
【2025年】歯科医師国家試験の概要
2025年2月に実施される第118回歯科医師国家試験の概要を説明します。試験は、東京都や大阪府など、8都道府県で行われます。2日合わせて9時間かけて行われ、合計360問が出題。合格発表は3月14日(金)午後2時から。厚生労働省ホームページで確認できます。
試験日
2025年実施の歯科医師国家試験は、同年2月1日(土)、2日(日)の2日にわたって行われます。試験時間は、午前と午後でそれぞれ2時間15分ずつ、合計9時間です。
試験会場
北海道、宮城県、東京都、新潟県、愛知県、大阪府、広島県、福岡県の8都道府県で行われます。会場は専門学校や大学、会議場など。各都道府県で複数の会場が設置されることもあります。
合格発表
第118回歯科医師国家試験の合格発表は、3月14日(金)午後2時です。厚生労働省のホームページの「資格・試験情報」ページに受験地と受験番号が掲載されます。
解答発表
国家試験の問題と正答は、毎年4~5月の中旬に厚生労働省のホームページで公表されます。出題が不適切であったり、誤りがあったりした場合には、採点除外や全員正解などの処置がとられることがあります。試験後には、予備校などが解答速報を行いますが、こちらは非公式のものです。
受験料
受験料は18,900円です。受験願書に収入印紙を貼って納付します。受験書類が受理された後は、受験を取りやめても受験手数料は返還されません。
受験手続き
受験手続きをするには、受験願書と写真、卒業証明書か卒業見込証明書などが必要になります。
歯科医師の受験手続き・日程(2025年)
受験概要発表 | 2024年7月1日 |
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各大学への願書配布時期 (歯科医師国家試験運営本部事務所や厚生労働省でも入手可能) | 2024年10月中旬以降 |
願書等受験書類の受付期間 | 2024年11月1日(金)〜11月29日(金) |
受験票の交付 | 2025年1月上旬より発送 |
試験 | 2025年2月1日(土)、2日(日) |
合格発表 | 2024年3月14日(金)午後2時 |
受験書類 | ・受験願書 ・写真 ・切手を貼った返信用封筒 ・卒業証明書または卒業見込証明書 (外国の歯科大学卒業者や歯科医師免許保持者は、各自必要な認定書や証明書) |
試験科目・出題数・試験時間
試験内容は「臨床上必要な歯科医学及び口腔衛生に関して、歯科医師として具有すべき知識及び技能」と決められ、幅広く出題されます。実技試験は1982年に廃止され、現在はマークシート方式の試験のみです。
問題は、1つの正解を選ぶ形式だけでなく、選択肢の中から複数を選んだり、正しい手順を解答したり、計算して数値を答える形もあり、多様な出題がなされます。
試験内容・出題数
問題区分 | 問題数 | 出題内容 |
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必修問題 | 80問 | 医の倫理と歯科医師のプロフェッショナリズム 社会と歯科医療 チーム医療 予防と健康管理・増進 人体の正常構造・機能 人体の発生・成長・発達・加齢 主要な疾患と障害の病因・病態 主要な症候 診察の基本 検査・臨床判断の基本 初期救急 治療の基礎・基本手技 一般教養的事項 |
一般問題 | 180問 | 領域A(総論) 保健・医療と健康増進 正常構造と機能、発生、成長、発達、加齢 病因、病態 主要症候 診察 検査 治療 歯科材料と歯科医療機器 領域B(各論) 成長・発育に関連した疾患・病態 歯・歯髄・歯周組織の疾患 顎・口腔領域の疾患 歯質・歯・顎顔面欠損と機能障害 高齢者等に関連した疾患・病態・予防ならびに歯科診療 |
臨床実地問題 | 100問 | |
合計 | 360問 |
試験は2日間行われ、それぞれ午前と午後に分かれて実施されます。問題数は各90問で合計360問。試験時間はそれぞれ135分(2時間15分)です。必修問題、一般問題、臨床実地問題が出題され、必修問題が80問、一般問題が180問、臨床実地問題が100問です。
試験委員
試験委員は、決められた試験基準を踏まえて問題を作成します。2025年実施の第118回歯科医師国家試験の試験委員は、委員長1名、副委員長1名、委員68名で構成されています。
第118回歯科医師国家試験 試験委員名簿
委員長 | 松野智宣 |
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副委員長 | 馬場麻人 |
委員 | 鮎川保則、有坂博史、有地淑子、飯田征二、飯沼利光、池邉哲郎、井上誠、岩﨑正則、岩田隆紀、上田貴之、鵜澤一弘、鵜澤成一、江草宏、大須賀直人、小方賴昌、柿本直也、柏﨑晴彦、加藤隆史、上岡寛、河合泰輔、川戸貴行、川端重忠、川元龍夫、岸光男、城戸瑞穗、清島保、久山佳代、黒岩昭弘、黒木淳子、黒嶋伸一郎、越野寿、後藤哲哉、小林真之、小松﨑明、齊藤一誠、櫻田宏一、里村一人、柴秀樹、自見英治郎、菅谷勉、髙橋一也、武部純、田中芳彦、玉置幸雄、玉置幸道、筑波隆幸、友成博、内藤真理子、仲野和彦、永易裕樹、西村正宏、野杁由一郎、野田守、林孝文、原田浩之、日野出大輔、船津敬弘、古澤成博、堀一浩、松浦尚志、水田健太郎、宮崎真至、村田比呂司、森川和政、山口徹太郎、山口秀紀、山村健介、山本龍生(五十音順) |
歯科医師国家試験の合格率、難易度
歯科医師国家試験の合格率は、61〜66%で推移しています。毎年90%を超える合格率となっている医師国家試験と比べ、低い水準です。2024年の受験者は3,117人、合格者は2,060人、合格率は66.1%でした。
合格基準
歯科医師国家試験の合格基準は、必修問題が正答率80%。一般問題と臨床実地問題では、領域A(総論)、領域B(各論)に分けられ、それぞれの平均点と標準偏差から必要な正答率が決められます。そのため、毎年合格基準点は異なります。
2024年実施の試験では、領域A(各論)が94点満点中60点以上、領域Bが379満点中254点以上、必修問題が80点中64点以上が合格基準となりました。
必修問題と、領域A、領域Bの全てで、合格基準点を上回る必要があります。 不適切な出題があった場合には、採点除外等の処置がされることがあり、満点の点数が変動します。
合格基準
問題区分 | 問題数 | 配点 | 合格基準 |
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必修問題 | 80問 | 1問1点 | 80%以上の正答 |
一般問題 | 180問 | 1問1点 | 領域A(総論)、領域B(各論)で、それぞれの平均点と標準偏差を用いて基準を決める |
臨床実地問題 | 100問 | 1問3点 | |
合計 | 360問 | 560点満点 | ー |
合格者数と合格率
歯科医師国家試験の合格率は61〜66%です。毎年、2,000人ほどの歯科医師が誕生しています。2024年の試験では、3,157人が受験して2,060人が合格。合格率は66.1%でした。
歯学部卒業と同時に受験した新卒者のみの合格率は76〜80%と高い水準です。再挑戦をした既卒者のみでは35〜47%程度となり、新卒者の合格率を大きく下回っています。
2024年の試験では、新卒者が1,962人中1,600人合格し合格率は81.5%。既卒者は1,155人中460人合格で39.8%でした。
合格率
歯科医師国家試験の合格率は63〜66%です。医師国家試験90%程度の合格率があるので、比較すると合格難易度は、歯科医師の方が高いといえます。難易度が高めになっているのは、歯科医師の数が余剰傾向にあることが影響しているともいわれます。
受験者数の推移
受験者数を見ると、毎年3,000人以上が受験しています。2024年の第117回歯科医師国家試験では、3,117人が受験。前年よりも40人減少しました。
歯科医師国試受験者数推移
歯科医師 国家試験の対策・勉強方法
国家試験に合格するためには、大学での授業に加え、出題傾向に合わせた勉強も必要です。学生の中には、大学とは別に国家試験対策予備校に通う人もいます。また、授業の中で国家試験対策を行う大学もあります。
大学や予備校の授業以外で勉強を進めるのに、多くの学生が活用しているのが過去の問題集です。直近数年間に実際に出た問題を解くことで出題の傾向の理解が進み、自分の弱点も知ることができます。最近ではスマートフォンのアプリで過去問を解く学生も増えています。
国試予備校
国試予備校は、国家試験対策の勉強に特化した予備校です。講義形式のほか、個別指導形式もあります。卒業時に落ちた人だけでなく、現役の学生が通うことも多く、そのためのコースも用意されています。オンライン授業もあるので、近くに予備校がない人も利用できます。
多くの予備校では、国家試験の模擬試験を開催しています。受講生ではなくても模試だけを受けることができるので、実力を確認するため、多くの学生が受験しています。
国試問題集
国試過去問題集は、過去に出題された問題を集めています。出題傾向や形式を知ることに役立つほか、自分の苦手な分野を理解することもできます。実施回別に編集されているものや、出題分野別に編集されているものなど、さまざまあります。
国試過去問アプリ
国試対策にはアプリも便利です。スマートフォンのアプリは、移動の途中や授業と授業の間など、ちょっとした時間に勉強できて、書籍のようにかさばらず重くもないメリットがあります。間違えた問題だけを絞り込めたり、他の学生の正答率がわかったりと、便利で役立つ機能も多く備わっています。
グッピーの国家試験対策アプリ「国家試験&就職情報」は、過去5年分の問題を解くことができ、全問解説がついています。
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歯科医師国家試験のよくある質問
- 歯科医師国家試験の難易度は?
- 2024年(第117回)の歯科医師国家試験の合格率は66.1%、新卒者の合格率は81.5%でした。
- 歯科医師国家試験の合格基準は?
- 歯科医師国家試験の合格基準は、必修問題が正答率80%。一般問題と臨床実地問題では、領域A(総論)、領域B(各論)に分けられ、それぞれの平均点と標準偏差から必要な正答率が決められます。そのため、毎年合格基準点は異なります。
2024年実施の試験では、領域A(各論)が94点満点中60点以上、領域Bが379満点中254点以上、必修問題が80点中64点以上が合格基準となりました。
必修問題と、領域A、領域Bの全てで、合格基準点を上回る必要があります。 不適切な出題があった場合には、採点除外等の処置がされることがあり、満点の点数が変動します。