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2021年9月29日更新

歯科医師の将来性

歯科医師は、医師などと同じように社会にとって不可欠な存在であり、将来性がある仕事といえます。むし歯などの治療はもちろん、口腔内の健康が全身の健康に影響を及ぼすため、歯科医療に大きな期待が寄せられています。近年、子どものむし歯が減り、歯を残す高齢者が増えており、将来は予防により力を入れた診療に移行していくと予想されています。

歯科医師は非常に高い専門性があり、市民の健康維持に大きく貢献できる仕事です。一生役に立つ国家資格を持っていることは収入の安定にもつながり、自らの専門性をさらに高めていくことで将来性も広がっていきます。歯科医師の数は今後大きく増えない見込みで、過度な競争は避けられることが予想されています。

歯科医師数の推移

厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師調査」より

将来性が高い理由

歯科医師は高い専門性をもって将来にわたって長く活躍できる職業です。一生涯有効な国家資格があり、経験を積むことで年収が1,000万円を超えることもできる将来性のある仕事です。歯科医院や病院、介護福祉施設、保健所など幅広い職場があるほか、独立開業して自分の理想の歯科治療を行うことも可能です。

やりがいも多く、自分の技術を発揮して多くの患者を治療し、感謝されるほか、広く社会の健康維持・増進に貢献していくことが可能です。

一生役立つ国家資格

歯科医師として働くには、国家資格でもある歯科医師免許が必要です。大学の歯学部で6年以上学び、所定の単位を取得し卒業した上で歯科医師国家試験に合格する必要があります。さらに、1年以上の研修を受けることで、ようやく歯科医師の免許が交付されます。歯科医師免許には更新がなく、一度取得すれば一生働けます。国家試験の合格率が65%程度と難しいこともあり、価値が高いといえます。

高い年収

歯科医師の平均給料は、年収が787万5,100円、月給が各種手当込みで59万4,800円と高額です。年齢を重ねるにつれて上がっていき、50代の平均年収は1,000万円を超えます。また、非常勤で働く際の時給も5,314円と高い傾向にあります。

そのほか、月の給与額が固定給ではなく、歩合給のところもあります。自分が担当した診療の売上のうち、規定の割合の金額を受け取る制度で、実際に働いた量や技術に応じて給料が変わるので、モチベーションの維持・向上につながることもあります。

年齢別歯科医師の年収

年齢年収
25~29歳557万7,200円
30~34歳666万2,600円
35~39歳523万8,700円
40~44歳978万7,600円
45~49歳969万6,800円
50~54歳1140万5,100円
55~59歳1156万9,200円

厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」より

理想の歯科医院開業

歯科医師が独立して自分の歯科医院や診療所を開業する割合は高い傾向にあります。歯科医師10万4,895人のうち、5万8,653人(約56%)が開業しています。年代別に見ると、20代はほとんどが勤務医ですが、40代になると53.30%(男性:67.24%、女性:21.37%)が開業しており、60代では81.12%が独立開業しています。

開業することで、自分の理想とする診療や治療を行うことができて、やりがいも大きくなります。経営面で成功すれば年収を上げることも可能です。

開業している歯科医師の割合

魅力・やりがい

歯科医師の魅力は、自分の持つ高い専門性と技術で、社会の健康維持・増進に貢献できる点にあります。子どものむし歯は減少傾向で、自分の歯を残す高齢者が増えているのは、歯科医師の努力の結果でもあります。今後はむし歯治療とともに、より予防に力が入れられるので、歯科医師の活躍も期待されています。

治療と予防に貢献

歯科医師は、歯科の治療と予防によって社会に大きな貢献をしています。長年の治療と予防活動によって、近年はむし歯を持つ子どもが減り、自分の歯を残す高齢者が増えています。今後も口腔の健康を守っていくことが期待されていて、予防分野ではより一層の働きが求められます。

むし歯を持つ人の割合の推移

厚生労働省「平成28年歯科疾患実態調査」より

高い専門性

歯科医師には厚生労働省が広告への表示を認めた5つの「専門医」資格が存在しています。「口腔外科専門医」「歯周病専門医」「歯科麻酔専門医」「小児歯科専門医」「歯科放射線専門医」があり、それぞれの歯科系学会において優れた技能や知識、経験を持っていると認定された資格のことです。

「専門医」を取得している歯科医師数

専門医口腔外科歯周病歯科麻酔小児歯科歯科放射線総数
1,9831,01523969217079,611
2181751125753525,297
男女計2,2011,1903511,267205104,908

厚生労働省「平成28年 医師・歯科医師・薬剤師調査」より

上記以外にも、各種学会において、さまざまな専門医資格や認定医資格が認定されていて、歯科医師の専門性向上のための指標となっています。専門医と認められるには、その分野の治療を数多く経験し、研究を重ねて、成果を論文等にまとめることが必要です。複数の文やの専門医を取得する歯科医師も多くいます。

人や社会に貢献

現代の歯科医師は、地域社会に参加し、口腔ケアを中心として住民の健康維持・増進に貢献することが求められています。特に、口腔機能の健康が全身の健康に大きな影響を与えることがわかっており、地域の高齢者ケアにおいて、歯科医師の役割は大きくなっています。

また、訪問歯科診療や歯科衛生士による口腔衛生処置の推進、本人・家族へのケア指導など積極的に取り組むことが求められています。

安定した収入

歯科医師の収入は、高い水準で安定しています。平均年収は調査年によってバラつきはありますが、おおむね500万円台後半から900万円程度で、60代まで年齢が上がるごとに平均年収も上がっていく傾向にあります。

今後は人口減少などによって、歯科医院の収入が伸び悩む可能性はありますが、予防歯科への注力、地域の予防医療や介護への参画、医科との連携など、将来的に職域の拡大が予想されています。また、国の方針により、歯科医師数は過剰にならないように調整されているため、過当競争が避けられることも将来性の点でよい材料です。

歯科医師年収推移

厚生労働省「賃金構造基本統計調査」より

歯科医師のキャリア

歯科医師のキャリアは、病院や歯科医院などに勤務して経験を積んだ後、開業医として独立することが一般的です。そのほか、大学病院の口腔外科などで専門スキルを発揮したり、研究や教育を中心に活動したり、医系技官として公務員の職を通じて社会に貢献するなどのキャリアもあります。

高齢化がさらに進み、国民が長生きする日本において、一人ひとりの口腔の健康を維持していくために極めて重要です。国の方針によって、歯科医師の数の伸びは抑えられていきますが、自らの専門性を高め、自分にしかできない仕事を確立することが大切です。そうした努力により、長く活躍してよりよい人生を切り拓いていける職業といえます。

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