フリーランス歯科衛生士の仕事内容など働き方のリアルを聞きました。菅原舞子さんインタビュー 教えてグッピー | 医療・介護の求人・転職・募集ならグッピー
2024年8月8日更新

フリーランス歯科衛生士の仕事内容など働き方のリアルを聞きました。菅原舞子さんインタビュー

歯科衛生士 菅原舞子さん

歯科衛生士の活躍の場が広がり、現在臨床以外にフリーランス歯科衛生士として働いている人が増えているようですが、実際にどのような状況なのか気になるところ。フリーランスの歯科衛生士とは、どのような活動をしているのか?仕事を成功させるにはどうしたらいいのか?活躍している菅原舞子さんに話を聞きました。

👉 菅原舞子さんのこれまでのキャリア

【お話を伺った方】 歯科衛生士 菅原舞子さん

歯科医院向け研修講師

  • 自費率、リコール率向上
  • ホワイトニング、マウスピース矯正契約率向上
  • DH採用定着のためのコンサルティング

健康経営アドバイザー

菅原舞子さんInstagram

フリーランスの歯科衛生士としての仕事内容は?

―――現在、どのような活動をされているか教えてください。

いくつか活動をしていますが、一つめは一般の患者さんにもっと歯について興味を持ってもらうことです。欧米などと比べると日本人はまだまだ歯に対して無関心で、歯の治療にネガティブな人が多いのが実情で、健康に関してもネガティブな要素を持つ人が大半です。そのような人が私と関わることでポジティブに変わっていく。個人的にその姿、その瞬間を見るのがすごく楽しいですね。

予防歯科の意識を高めることが重要なので、今後歯科業界関係なく企業、行政、イベントを通じて活動をしていきます。

二つめはそれを受け入れる歯科業界、対スタッフへ向けた活動です。歯科業界もネガティブ要素を抱えており、就業率が低く歯科衛生士不足といった現状がありますよね。そうした状況にある方々に対して「歯科衛生士の仕事はこんなに面白い」と伝えていきたいです。

歯の悩みで歯科医院を受診したのに雰囲気が良くないと患者さんも暗い気持ちになりますよね。改善するには歯科業界全体を盛り上げる必要があると感じています。スタッフの皆さんにやりがいや楽しさをもっと提案し、スタッフを通じて患者さんをポジティブにしたいです。主に歯科医院へ赴いて、院長から歯科衛生士、歯科助手、受付までスタッフ向けの研修をしています。

――研修では自費診療の提案方法をレクチャーしているそうですね。

歯科業界に入る前は、ブライダル業界でドレスのコーディネーターとして営業を担当していました。ブライダルは一つひとつの単価が少し高めの設定なので、ドレスも1着数十万、数百万円が当たり前の世界。結婚式をする場合、半日で数百万円のお金が動くことになります。こういった経験から高い商材を提案するのが得意で、医療業界に移ってからも経験を生かしています。

私が一番大事にしているテーマは「感動」です。ブライダル業界に在籍していたときからのテーマですが、心が動くときに信頼関係が生まれて、その先にお金が動くと思っています。人軸の経営ではないですが、売り上げに数字の目標を置いて結果を出す――つまり数字だけにとらわれた経営ではなく、マンパワーの結果によって売り上げに繋がることに注力しています。

例えば、保険診療だと選択肢が1つしかなくても、自費診療になると10~20に選択肢が広がりますよね。患者さんが持っている歯科治療の情報・知識は限られますから、うまく提案できなければ「でも高いんでしょう?(高いのでできれば自由診療は避けたい)」で終わってしまいます。

しかなぜ自由診療の方がいいのかという理由はありますので、私は患者さんの先々を見据えた上で、理由をポジティブに伝えるようにしています。すると患者さんは「そういう理由ならこの治療でお願いします」とより信頼関係が増すんです。

歯科医院の研修でホワイトニングを題材にするケースが多いのですが、私が研修させていただいた医院さんではホワイトニングの契約が月に1~4件ぐらいだったのが、30~50件取れるようになっています。

――ブライダル業界の営業ノウハウが生かされているんですね。

営業の仕組みみたいなものをお伝えしているので、実践していただければできるようになります。ただし継続させるにはマインドが大事です。営業の方法は理解できたけれど熱量が下がってしまうケースもあります。「これをやれば契約に繋がるテクニック」ばかりをお話してしまうと、マインドが整ってない人は続きません。

またチームビルディングにはかなり力を入れています。これは歯科医師、歯科衛生士、歯科助手、受付とスタッフ全員が一緒に数字の目標を立てて、実際に達成するためにはどういう動きをするべきかなどを学ぶ研修です。このようにゲーム感覚で行うものを取り入れ、全員がマインドアップするよう工夫しています。

――このようなアイデアは、過去の経験から生まれるのでしょうか?

実際自分が患者さんに審美歯科の提案をしているとき、1人でやるには限界がありました。時間が限られ限界がありますので、最初から最後まで自分で行う必要はないと考えたんです。先生の力を借りる、患者さんに興味を持ってもらったもののしっかり説明する時間がないのであえれば、違う人にバトンタッチするなどいくらでも方法はあります。

さらに「あの患者さんに提案したらすごくいい感触だったので、最後に受付でもワンプッシュしてください」などと、他のスタッフにつないで皆で連携しあいます。研修中の題材がホワイトニングであれば、ホワイトニングキャンペーンを展開する歯科医院もありますので、患者さんが受け付けをするタイミングを狙って「今こういうキャンペーンをやっていますので、もしご興味があればご説明します」と先手を打つだけで、チーム全体の雰囲気が盛り上がり、契約率が上がることもあります。

――歯科医院の一体感に繋がりそうですね。

それも狙いです。会話の質が上がれば一体感に繋がります。必ずしも一体感は退職しない環境作りになるとは断言はできませんが、そういうメリットも生まれると思います。

特に研修は楽しいです。資料を作って準備しているとき、反応が悪かったらどうしようと不安になることもありますが、実際に行うと楽しすぎて、この仕事が好きな自分に気付きます。私も受講する側も最初は緊張していますが、緊張している中をどんどん進めていくと次第に会場が温まってきて、終わったタイミングで、歯科医師も最初は「特に自分はホワイトニングは関係ない」みたいなスタンスだったのが、研修後、「明日から頑張ります!」と変わってうれしそうで、そんな姿を目にすると頑張ろうと思います。

採用に困っている歯科医院も多いようですし、私が関わることでネガティブな要素が少しでもポジティブになれば嬉しいです。

――そのほか臨床現場にも出ているそうですね?

臨床現場にも出ていますが、特定の歯科医院に所属をしたりしているわけではなく、矯正歯科医師の依頼を受けて、歯科医院の矯正日に合わせて業務をしています。歯科医院に勤務しているわけではなく、個人の歯科医師に雇用されて数名のチームで働いている形になります。

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フリーランス 歯科衛生士の働き方

――スケジュールはどのように組んでいますか?

スケジュールはひと月でいうと、臨床現場に出ているのが月10日ぐらいです。曜日が決まっているわけではなく、矯正日として設定された月の第3金土などという形になりますね。残りを研修にあて、今月であれば割と多くて5件ほど入っています。自分自身ではもう少し研修軒数を増やせそうな感じはしていますが、質を下げたくないので5件ぐらいが妥当だと考えています。

研修日の前後には打ち合わせやフォローを行うなど、密にやり取りし、また資料が大事なので制作にはものすごい時間をかけています。練習のために全く業種の違う人に聞いてもらったり、家族に見てもらったりするなど、入念に準備をします。歯科医師に聞いてフィードバックももらいますし、かなり練習をして作り上げています。

――研修の日は自身の希望と歯科医院の希望に合わせて調整しているのでしょうか?

スケジュール的に研修はそういう形になります。研修日時に合わせて診療を休んでくださる歯科医院も多いんですが、基本的には歯科医院のスケジュールにできるだけ合わせるようにはして、その都度相互で調整しています。

――子育て中でいらっしゃるそうですね?プライベートとのバランスはいかがですか。

中学1年生と小学5年生の子どもがいます。だいぶ自立をしてきて子育てに時間を取られている感じではないですね。以前は休む概念はありませんでしたが、最近はできるだけ休みの日を作るようにもしています。

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フリーランス歯科衛生士の仕事獲得方法

――仕事はどのような方面から得ていますか?

一番多いのが、セミナーなどをやらせていただいた際に学会で登壇後、次回はスタッフにいろいろ話を聞かせて欲しいというパターンです。最近は口コミで広まり、ぜひ自費率を上げたい、チームビルディングを行いたいというご意向から研修を頼まれたり、数字が上がった歯科医院から紹介していただいたりするケースが増えています。

基本的にはセミナーを見て繋がっていくスタイルでしょうか。そのほか、人を介して困りごとを聞いた、誰かと誰かを繋いだといった流れからご依頼があることもあります。「菅原さんそんな仕事やっているんだ。うちの歯科医院に何らかの形で携わってよ」という流れから、研修に入らせていただくこともあります。

最初は、知識会得や人脈を広げるためセミナーや勉強会に参加しました。情報は命ですから、著名な先生方に直接お会いしてお話を聞いたりもしましたね。

フリーランス 歯科衛生士の可能性

――現在活躍しているフリーランスの歯科衛生士はどのような人ですか?

歯科医院からも歯科業界からもオファーが多い人は、やはりその人だけにしかないオンリーワンの部分をお持ちです。人間力はもとより、技術があるからなのか、あなたがいてくれると助かる、なのか。多くはプラスアルファの得意分野を生かして行動されている方々ですね。

歯科衛生士の業務以外でいえば、最近多いのがデンタルエステで、ご自宅で行っている人もいます。そのほかはグッズで、歯ブラシやマスク、マウスウォッシュの開発に携わっている、美容医療関係の仕事などに関わっている人も多いですね。

今後の活動について 

――今後はどのような活動をしていきたいですか?

一つめは、歯科医院に来る前の人に対し自分の財産である歯や口元にもっと興味をもってもらえるように、企業や行政と一緒に活動していきたいです。

口元に自信がないし、口臭も気になるけど、歯医者さんに行かないし対策もしていないという人って多いと思います。そのような人たちに、たとえば認知症になる割合に歯の本数が影響していること、歯の一本の値段や価値、口腔周囲筋の衰えが高齢になってからの飲み込めない、食べられない、呼吸ができないとなり、健康寿命に影響していること―こうした情報を届けて、明日からの行動を変えられたらと思っています。

もうひとつは、このような知識を「知らなかった」で損をすることが無いように、歯科のスタッフの方々から患者さんに伝わるように後押ししたいです。予防医療の最前線にいる職業が歯科衛生士だと思います。やろうと思えば、国民の医療費にも関わる情報を発信できる職業だという価値を、もっともっと伝えていきたいですね。

👉 菅原舞子さんのこれまでのキャリア

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