歯科技工士の仕事内容とは? 教えてグッピー | 医療・介護の求人・転職・募集ならグッピー
2024年12月27日更新

歯科技工士の仕事内容とは?

歯科技工士

歯科技工士の仕事は、歯科治療で使用するかぶせ物やブリッジ、入れ歯や矯正器具などを作成することです。特定の歯科医院や病院に所属し、併設の歯科技工室で歯科医師の指示を受けてこれらの作成を行う場合もあれば、歯科技工所に勤務し歯科医院や病院からのオーダーを受けて作成を行う場合もあります。割合としては、歯科技工士の70パーセント以上は歯科技工所に就業しており、歯科医院や病院で働く歯科技工士は全体の25%程度となっています。

患者さんの口内にフィットする技工物を作成するため、歯科技工士には細かい作業を正確にコツコツと行う技術が求められます。また、以前はすべて手作業で行っていた歯科技工士の仕事ですが、近年ではデジタル技術が取り入れるようになってきています。そのため、そういった新しい技術を取り入れる柔軟性や適応力も大切な要素となっています。

歯科技工士が製作するもの

クラウン
虫歯などで削った歯の上からかぶせて、歯の機能を補うもの
ブリッジ
患者さんがセルフケアできるように指導 患者さんの生活習慣を聞き出すことも大切
入れ歯(総入れ歯・部分入れ歯)
失った歯を補うために使用される、取り外し可能な義歯
インプラント
あごの骨に人工歯根を埋め込み、その上からクラウンをかぶせて欠損歯を補う治療のことです。
矯正装置
矯正装置を作るための模型の作成や模型をもとにした矯正装置の作成

歯科技工士の主な仕事内容・業務

歯科技工士の仕事は、歯科医師の指示や指示書に従って、患者さんの口内で使用するさまざまな技工物を作成することです。また、歯並びやかみ合わせを整えるための矯正器具の作成も行います。これらの作成には高度な歯科技工技術が必要であり、また近年ではCAD/CAMや3Dプリンターを設計や加工に使用することも増えているため、デジタル技術を活用するスキルも大切な能力となっています。

クラウン(かぶせ物)

クラウンとは、虫歯などで削った歯の上からかぶせて、歯の機能を補うものです。金属、プラスチック、セラミックなどの素材が使用されます。また、歯の欠損範囲が狭い場合には、インレー(詰め物)が使用されます。

ブリッジ

ブリッジは、失った歯を補うために、その両隣の歯を支えとして取り付ける義歯のことです。失った本数が少ない場合や審美性を維持したい場合に選択されることが多いですが、両隣の健康な歯を削らなければならないというデメリットがあります。

入れ歯(総入れ歯・部分入れ歯)

入れ歯は、失った歯を補うために使用される、取り外し可能な義歯です。総入れ歯は歯ぐきの土手に密着させることで安定させ、部分入れ歯は残っている歯に留め具をかけることで安定させます。

インプラント

歯科治療におけるインプラントとは、あごの骨に人工歯根を埋め込み、その上からクラウンをかぶせて欠損歯を補う治療のことです。残っている歯にかかる負担が少なく、審美性を保ちやすいというメリットがあります。

矯正装置

矯正装置は、歯並びやかみ合わせを調整するために用います。歯科技工士は、矯正装置を作るための模型の作成や模型をもとにした矯正装置の作成を行います。

その他

スポーツ時の口内のけがを防ぐために使用するスポーツマウスガードも、歯科技工士が作成をしています。また、自由診療のエピテーゼ(人工のボディパーツ)の作成を行うこともあります。

職場・就業場所

歯科技工士には、歯科技工所や病院・診療所、歯科関連メーカー、養成施設など、活躍する場が複数用意されています。その中で代表的な就業場所となっているのは歯科技工所であり、2022年末に歯科技工士32,942人を対象に実施した調査では、全体の72.9%の歯科技工士が歯科技工所に勤務していると回答しています。そのほか、病院・診療所で働く歯科技工士は24.8%、それ以外の就業場所に勤務している歯科技工士は2.3%です。

職場・就業場所

歯科技工所での仕事内容

歯科技工所は歯科技工士の70%以上が就業しており、全国におよそ2万軒あります。主な仕事内容は、歯科医院から委託された歯科技工物の作成・調整であり、具体的にはクラウンや入れ歯の作成・調整、模型の作成、矯正器具の作成・調整、技工に用いる材料・器具の準備や手入れなどが含まれています。また、歯科医師とのやりとりや歯科医院への営業、新人スタッフの教育などを行う場合もあります。 一口に「歯科技工所」といっても、技工所によって扱う技工物や業務の進め方、方針はさまざまです。歯科治療に使用する技工物全般の作成に対応する技工所もあれば、特定の技工物に特化している技工所もあります。また、一人の歯科技工士が一つの技工物に対しすべての工程を担当する場合もあれば、工程ごとに分業制をとっている場合もあります。 

歯科技工所の数

歯科医院での仕事内容

歯科医院に勤務している歯科技工士は、院内に併設された歯科技工室で技工業務を行います。このように歯科技工士を直接雇用している歯科医院は減少しており、2017年の調査では歯科医院全体の11%ほどとの結果が出ています。また、歯科医院全体の92%は技工物の作成や加工を外部に委託しており、歯科技工士が在籍している歯科医院の一部は、内製と外注を併用していることがわかります。

歯科医院で働く歯科技工士の業務内容で歯科技工所と大きく異なるのは、患者さんと直接関わる機会があることです。診療に立ち会うことができるため、技工物の装着時の違和感や天然歯との色味の違いなどを直に知ることができます。また、歯科医師や歯科衛生士とともに働くことで、より現場に即した経験を積むことが可能となっています。

その他企業での仕事内容

そのほかの就業先としては、歯科材料メーカーや研磨機器メーカー、レントゲン・CT機器メーカー、CAD/CAM機器メーカー、システム・ソフト開発企業などがあります。企業で働く歯科技工士の多くは営業職や研究・開発職に就いており、歯科関係者への営業や販促業務、研修会の企画・開催、展示会での商品宣伝、新製品や新材料の研究や開発が主な業務です。また、日本の企業だけでなく、海外の企業でこのような業務を行う歯科技工士もいます。

歯科技工所の数

歯科技工士と歯科医師の違い

歯科医師は、虫歯や歯周病の治療から歯科技工物の作成まで、歯科診療全般を行うことが認められています。それに対し歯科技工士は、歯科技工物の作成を専門的に行う、歯科技工のスペシャリストです。

歯科医師は自ら歯科技工物を作成することもできますが、診療との両立の難しさや、より精度の高い歯科技工物の作成を優先するために、歯科技工士に作成を依頼するのが一般的です。また、歯科技工士は技工物の作成はできますが、型取りや技工物の装着などはすることができません。

歯科技工士歯科医師
国家資格歯科技工士免許歯科医師免許
詰め物・被せ物 入れ歯の作成できるできる
歯の型取りできないできる
技工物の装着できないできる
給与(年収)約464万円約924万円

歯科技工士と歯科衛生士の違い

歯科技工士も歯科衛生士も、歯科医療における国家資格を持つ職種だという点では同じですが、その仕事内容は異なります。歯科技工士が技工物の作成を専門的に行う役割であるのに対し、歯科衛生士は「歯科診療補助」「歯科予防処置」「歯科保健指導」の3つの柱を軸に、幅広く歯科医療に携わっています。歯科診療補助は治療中の唾液の吸引や治療器具の滅菌処理、歯科予防処置は歯石取りやフッ素塗布、歯科保健指導はブラッシング指導や食事指導などを指します。また、歯科衛生士は技工物の作成をすることはできません。

歯科技工士歯科衛生士
免許歯科技工士免許歯科衛生士免許
仕事内容歯科技工物の作成クリーニングや点検、
歯石取り、患者への指導
業務の範囲歯科医師の指示を受けて
技工物を作成
歯科医師の指示のもとで業務
給与(年収)約464万円約404万円

歯科技工士の1日のスケジュール

歯科技工所に勤務する歯科技工士も、歯科医院に勤務する歯科技工士も、主な業務内容が技工だという点には変わりありません。また、勤務先の方針や役職によっても、一日のスケジュールは変わってきます。

歯科技工所での1日

歯科技工所の多くは、9時~10時に出勤・稼働開始となります。その後、ミーティングや仕事の割り振りなどを行ったら、作業開始です。お昼休憩の時間は、「13時~」などのように決まっている技工所もあれば、個々に自由にとる技工所もあります。午後も、引き続き作業をするとともに、完成した技工物の配達や郵送の手続きを行います。勤務終了時間は17時~18時くらいとなっており、退勤前に掃除やミーティングの時間が設けられている技工所もあります。

歯科医院での1日

歯科医院に勤務する歯科技工士は、歯科医院の診療時間に合わせ8時や9時など、技工所よりも早い時間から稼働開始となるのが一般的です。また、お昼休憩に関しても、歯科医院の休診時間に合わせてとることが多くなっています。技工が主な業務であるという点では歯科技工所と変わりありませんが、細かい調整や修理などが随時依頼されるという点は、歯科技工所とは少し異なります。診療状況に合わせて、臨機応変にスケジュールを組み立てていく力が求められます。

仕事の魅力

歯科技工士の仕事の魅力は、自分が作成や調整を行ったもので患者さんの生活を豊かにできることです。食べる・話すといった機能面はもちろん、見た目のコンプレックスを解消するなどの審美面でも、患者さんの生活を支えることができます。歯科医院で働く歯科技工士は患者さんの喜ぶ顔を直接見ることができ、歯科技工所で働く歯科技工士は歯科医師などから患者さんの喜びの声を聞くことができます。

また、技術やセンスが問われる仕事であり、生涯にわたってスキルアップに励める点はやりがいに通じます。デジタル化に伴い新しい技術も開発されており、それらの技術を吸収しスキルアップしていくことで、収入アップや独立開業を目指すことも可能です。

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