
教育の在り方が多様化し、フリースクールが注目されています。フリースクールに対し「何らかの理由で学校にいけない子ども達が行く」という漠然としたイメージがある方もいると思います。まずは、その具体的な定義や目的について解説します。
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フリースクールの定義は?
文部科学省の資料によると特に定義はないとされていますが、一般的に「フリースクール」とは、何らかの理由で学校にいけない子どもたちに対し、学習活動、教育相談、体験活動などの支援を行う民間施設のことです。NPO法人やボランティア団体のほか、個人でフリースクールの運営をしている場合もあり、その規模や活動内容はさまざまです。
フリースクールが必要な理由
学校にいけない子どもたちにとって、フリースクールに通うことは社会とのつながりを保つ手段の一つです。自宅以外に安心して過ごせる場所があることが、子どもたちの精神安定や学校復帰につながることもあります。また、フリースクールで勉強を続けることで、学校に復帰した際に学習の遅れを感じづらくなるというメリットもあります。
フリースクールの目的
学習サポートや安心できる居場所づくりなど、運営団体によってフリースクールのタイプはさまざまですが、どのフリースクールも共通で目的としているのは、フリースクールでの活動を通して自己肯定感を高め、学習や学校復帰への意欲を促すことです。また、病気や障害を抱える子どもたちが適切な支援を受けられるよう、専門家や医療機関と連携して運営を行っている施設もあります。
フリースクールの求人事情
フリースクールに通う子どもたちのサポートをしたいと思った場合、どのような選択肢があるのでしょうか。フリースクール求人の現状や求められる資格について解説します。
フリースクールにおける求人の現状
2015年に文部科学省が実施した調査では国内にあるフリースクールの数は474校となっています。
また、フリースクールが求人募集を出している場合、ボランティアやパート・アルバイトでの募集となっていることが多く、正社員での雇用は数が少ないのが現状です。
東京のフリースクール求人
東京のフリースクール求人の数は少ないですが、それでも常時複数の求人募集を見つけることができます。雇用形態としてはアルバイトやパート、契約社員が多く、経験者が優遇される募集が多いものの、正社員としての募集や経験不問の募集もあります。
フリースクールの求人で求められる資格
フリースクールで働くために必須の資格はありませんが、多くの求人では教員免許保有者や児童指導員の要件を満たす方を募集しています。
児童指導員とは一定の学歴や実務経験を持つ者が得られる任用資格のことです。特定の研修や資格試験を受けて得るものではなく、厚労省が指定する大学や大学院を卒業した方、児童福祉法に基づく事業で2年以上かつ360日以上の実務経験を積んだ方、教員免許保有者、社会福祉士や精神保健福祉士の国家資格保有者が、児童指導員の任用資格を得ることができます。
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フリースクールでの働きがい
子どもたちの生活や学習をサポートするフリースクールでの仕事には、さまざまな魅力ややりがいがあります。
フリースクールでの仕事の魅力
フリースクールでの仕事の魅力の一つは、ワークライフバランスがとりやすいことです。残業が発生しない施設が多く、発生したとしても短時間のため、プライベートの時間を十分にとることができます。また、アルバイトやパートの場合には働く時間をある程度自由に決められる場合も多く、融通が利きやすいという特徴もあります。しっかりとした研修制度が設けられている団体が多いため、安心して働き始められることも魅力の一つとなっています。
スタッフが感じるやりがい
フリースクールでの仕事は、大きなやりがいを感じられる仕事です。不安を抱えながら通学していた子がだんだんと楽しそうに活動する姿を見せてくれるようになったとき、自分に心を開いてくれたとかんじたときなど、子どもの変化を感じられたときに強くやりがいを感じます。また、子どもや保護者の方が自分を信頼し相談してくれたときや助けを求めてくれたときなどにも、自信と意欲が湧いてくるでしょう。
フリースクールで働く魅力
フリースクールに通う子どもたちの中には、ほかの子どもや大人たちとコミュニケーションをとるのが苦手な子もいます。初めは会話をすることや目を合わせることなども難しかった子が、焦らずにコミュニケーションをとり続けたことで笑顔で会話してくれるようになったときや周りの子とコミュニケーションをとれるようになったときに、子どもの成長を感じることができます。
フリースクールで働くために必要なスキル
必須の資格はないものの、教員免許を保有していることや児童指導員の要件を満たしていることが応募要件になっていることが多いフリースクール。では、資格のほかにはどのようなスキルが求められているのでしょうか。

子どもとのコミュニケーション能力
まず大切なのは、子どもとのコミュニケーション能力です。施設によって活動内容は異なりますが、フリースクールでの仕事は子どもたちの生活や学習の支援をし、ときには保護者や学校との橋渡しをすることです。そのため、子どもの気持ちを理解できること、それを保護者の方などに適切に伝える能力が求められます。
学習支援に必要な専門知識
フリースクールでは、子どもたちが通っている学校のカリキュラムや学習速度に合わせた学習支援も行います。そのため、学習をサポートできるだけの知識は必要不可欠です。また、進学を支援するための進路相談に関する知識や、不登校支援に関する知識、学習障害や発達障害に関する知識も必要です。
問題解決能力と創造性
フリースクールは、学校のように決められたカリキュラムに沿って活動を行う場所ではなく、一人ひとりの子どもに対して適切な支援を行うための場所です。また、子どもたちにはフリースクールに通う、個々の理由があります。それぞれの子どもに応じて抱えている問題や求めていることは異なるため、一人ひとりの状況や性格に合わせた問題解決能力と創造力が必要になります。
フリースクールと学校の違い
フリースクールは学校の代わりとなる場所ではありますが、活動内容や目的が学校とは異なります。教育方針や学習スタイルに関して、フリースクールと学校の違いを解説します。
教育方針の違い
小学校や中学校、高校などの学校は、どこの地域にある学校だとしても一定の水準を満たした教育を提供するために、学習指導要領に則った学習を提供しています。また、それぞれの学校では校則が定められており、児童や生徒はそのルールを守る必要があります。これに対しフリースクールは、通っている子どもたちごとに学習の速度やカリキュラムを決定し、子どもたちの意思を第一に学習を進めていきます。決められた勉強時間や通学日数などもなく、子どもたちが自由にフリースクールでの活動内容を決められるのが学校との大きな違いです。
フリースクールでの学びのスタイル
学校ではクラス単位で同じ学習を行いますが、フリースクールでは、一人ひとりの子どもごとに学習内容や活動内容が異なるため、個別学習や少人数学習が基本です。また、前述したように学習内容も子どもによって異なります。
フリースクールの活用方法
学校は平日の週5日間通う必要がありますが、フリースクールは通学が強制ではありません。子どもの気持ちに合わせて通学することができます。また、フリースクールでは、不登校訪問支援カウンセラー資格や引きこもり支援相談士資格、児童発達支援士資格を持ったスタッフが在籍していたり、医療機関と連携していたりする場合が少なくありません。このような専門家の支援を受けられることも、学校との違いの一つです。
不登校支援としてのフリースクール
日本の不登校児は、年々増え続けているといわれています。それに対し公的支援は圧倒的に足りておらず、フリースクールが担う役割は重要性を増しています。
不登校の子どもへのアプローチ
学校に行きたくても行けない、行きたいと思えない子どもを支援する方法の一つが、フリースクールです。フリースクールでは、無理に学校復帰を促すのではなく、活動内容を通して子どもの自主性や自尊心を育むアプローチを行います。
居場所を提供する役割
不登校の子どもに対し、居場所を提供するのもフリースクールの役割です。学校や自宅以外で、子どもたちが安心して過ごせる場所をつくることで、学習だけでなく、生活や精神面での支援も行います。
進路支援の重要性
不登校の子どもたちは、学校の先生や友達との交流時間、学習時間が減ることで、進路や将来に関して大きな不安を抱える場合も少なくありません。そのような際に進路選択をサポートしたり、学校と連携をとってフリースクールへの通学が出席扱いになるよう働きかけを行ったりするのも、フリースクールの役割です。
フリースクールの費用と制度
フリースクールに通うためにはどのくらいの費用が必要なのか、費用を抑えるための方法はあるのかといった疑問について解説します。
フリースクールの授業料について
フリースクールは民間経営であり、施設によってその額は異なりますが、一般的な授業料は月額33,000円となっています。このほかに、入会金として約53,000円程度がかかります。
補助金や助成制度の活用
フリースクールへ通学するための公的な補助金や助成制度はほとんどありません。ただし、東京都は2024年度から「東京都フリースクール等利用者支援事業」を開始しており、都内在住の不登校の小・中学生の保護者に対し、フリースクール等の利用料として月額最大2万円の助成を行っています。また、鎌倉市でも「鎌倉市フリースクール等利用児童生徒支援補助金」として上限1万円の補助を行っています。
費用を抑えるための工夫
フリースクールの授業料に対する公的支援は乏しいのが現状です。ただし、前述した東京都や鎌倉市のように、都道府県や市区町村ごとに助成制度が用意されている場合もあります。住んでいる地域でそのような制度がないかを確認してみましょう。
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