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介護業界における処遇改善加算とは?仕組みや算定要件を徹底解説
公開日:2025年03月24日
更新日:2025年03月25日
介護業界における処遇改善加算とは?仕組みや算定要件を徹底解説

介護職の平均給与は、過去数年上昇傾向しています。この背景にある制度が、処遇改善加算です。

処遇改善加算は、職場の環境改善や賃金アップを行った介護事業所に対して支給される介護報酬の加算制度です。

従来の加算項目であった「介護職員処遇改善加算」「介護職員等特定処遇改善加算」「介護職員等ベースアップ等支援加算」を廃止し、これらを一本化する形で2024年に新設されました。その目的や条件に付いて解説します。

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処遇改善加算の目的と背景

処遇改善加算は、介護業界の長年の課題である「人材不足」を解消することを目的に創設されました。職員の賃金水準向上、人材確保、介護サービスの質の向上などがその具体的な目的であり、処遇改善加算を取得するために事業所が働きやすい環境づくりに取り組むことを狙いにしています。また、2024年度の改定では処遇改善加算を一本化することで、算定の複雑さや負担の大きさの低減を目指しています。

処遇改善加算の算定要件

処遇改善加算を算定するためには、キャリアパス要件・月額賃金改善要件・職場環境等要件の3つの要件をクリアする必要があります。それぞれの要件について解説します。

キャリアパス要件

キャリアパス要件は、介護職員の賃金体系や研修制度など、キャリア形成にかかわる要件です。ⅠからⅤの5段階に分かれており、下記に関する要件が定められています。

キャリアパス要件Ⅰ…任用要件・賃金体系
キャリアパス要件Ⅱ…研修の実施等
キャリアパス要件Ⅲ…昇給の仕組み
キャリアパス要件Ⅳ…改善後の賃金額
キャリアパス要件Ⅴ…介護福祉士等の配置

月額賃金改善要件

月額賃金改善要件は、処遇改善加算として算定した金額を職員の月給に充てる際の要件です。

「新加算Ⅳ相当の加算額の2分の1以上を、基本給や毎月支給する手当の改善にあてること」「前年度と比較して現行のベースアップ等加算相当の加算額の3分の2以上の新たな基本給などの改善を行うこと」という2つの要件があり、処遇改善加算算定のためにはこの2つを満たす必要があります。

職場環境等要件

職場環境等要件は、職員が働きやすい職場となるよう環境を整備するうえでの要件です。

「入職促進に向けた取組」「資質の向上やキャリアアップに向けた支援」「両立支援・多様な働き方の推進」「腰痛を含む心身の健康管理」「生産性向上のための業務改善の取組」「やりがい・働きがいの醸成」の6つの区分に分かれており、処遇改善加算を算定するためには区分ごとに1~2つ以上の取り組みを行う必要があります。

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処遇改善加算の対象者と賃金配分ルール

処遇改善加算は、事業所の種類や職種によっては対象とならないことがあります。処遇改善加算の対象者や賃金配分ルールについて解説します。

処遇改善加算の対象者

処遇改善加算の対象者は、介護業務に従事している者です。直接介護をしている方であれば、正規雇用・非正規雇用に関わらずに対象となります。介護事業所に勤務しているとしても、ケアマネージャーや管理栄養士、事務職の方などは対象となりません。また、対象となる事業所は訪問介護、通所介護、短期入所生活介護、特定施設入居者生活介護などをサービス内容としている事業所や介護老人福祉施設です。訪問看護や訪問リハビリテーションなどは対象外となります。

処遇改善加算の賃金配分ルール

これまでは加算によって配分できる職種が定められていましたが、2024年度の処遇改善加算ではそういった細かいルールがなくなりました。「介護福祉士の資格を有するとともに、所属する法人等における勤続年数10年以上の介護職員」を具体的な例として「経験・技能のある職員」に重点的に配分するよう定められていますが、事業所内での柔軟な配分が認められています。

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処遇改善加算の申請方法

処遇改善加算は、事業所が所在する都道府県などに申請を行うことで算定できるようになります。申請に必要な書類や申請の流れについて解説します。

申請に必要な書類・流れ

処遇改善加算を申請する際は、体制等状況一覧表と処遇改善計画書等の提出が必要です。体制等状況一覧表は事業所の体制等を申告するための書類であり、居宅系サービスであれば算定を開始したい月の前月15日まで、施設系サービスであれば算定を開始したい月の1日までに提出する必要があります。処遇改善計画書は改善計画を示した書類であり、初めて介護職員等処遇改善加算を算定する月の前々月の末日までの提出が必要です。また処遇改善加算の算定後は、実績報告書を提出する必要があります。

処遇改善加算の注意点

処遇改善加算を算定するうえで、いくつかの注意点があります。覚えておきたい注意点について解説します。

関連書類の保管を徹底する

まず大切なのは、体制等状況一覧表と実績報告書をはじめとした加算に関連する書類の保管を徹底することです。これらの書類は2年間の保管が義務付けられており、給与の支払い状況や職場環境改善、職員へきちんと周知が行われているかといった事柄に関する記録は、処遇改善加算の状況調査の際に確認される可能性があります。

事業によって加算率が異なる

処遇改善加算は、事業のサービス種別ごとに加算率が異なります。正確に収入見込みを把握することで、綿密な収入計画を立てるようにしましょう。加算率は、厚労省が発表している資料により確認することができます。

直接介護に携わらない職員は対象外

処遇改善加算は、直接介護にかかわる職員が対象となっており、そのほかの職員は対象外です。対象となる職員とそうではない職員をきちんと把握し、適切な加算配分を行うようにしましょう。

処遇改善加算を活かした働きやすい職場づくり

処遇改善加算の目的は、働きやすい職場づくりにより介護職員の人材不足や定着率の低さを改善し、より良い介護を実践していくことです。そのためにできる取り組みや介護業界の展望について解説します。

職員の定着率を上げるための取り組み

介護職員の離職率を下げるためにすぐできる取り組みとしては、入職後のフォローアップ面談や研修制度の充実化があります。新人職員は、慣れない環境や人間関係の中で仕事を覚えることに必死であり、さまざまな悩みやストレスを感じている状況です。その状況をできるだけ早く解消できるよう、入職後の一定の期間は面談の回数を増やしたり、不安なく業務に取り組めるよう研修を行うことが求められます。

また、中長期的な取り組みとしては、業務バランスの見直しやリーダー職への教育があります。面談で話を聞いたり、日ごろの働きぶりに目を配ったりすることで、業務が偏っていないか、スキルに合った業務内容になっているかを確認し必要に応じて調整します。

リーダー職への教育は、新人職員の定着率を上げるために見逃せないポイントです。先輩職員の指導方法や接し方に問題があれば、新人職員の定着率を上げることはできません。リーダーとしての教育方法やコミュニケーション方法を指導・教育する機会を作ることは、定着率アップにつながります。

介護業界の2025年問題

2025年には団塊の世代が75歳以上となり、介護を必要とする人の増加、それに伴う介護人材の不足が懸念されています。介護を必要とする人が適切なサービスを受けることができ、介護職員が働きやすい職場であるよう、早急な対策が求められます。処遇改善加算はそのような状況を改善するための方法の一つであり、効果的に活用することで人材の定着率を上げることが期待されています。

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