保育士の試験【2023年】概要、過去の合格率、難易度
保育士試験は、合格すると国家資格である保育士資格が取得できる試験です。年2回、前期試験は春から夏にかけて、後期試験は秋から冬にかけて、筆記試験と実技試験が実施されます。筆記試験に合格した人だけが実技試験に進めます。実技試験の合格発表は、前期が8月頃、後期が1月頃です。受験資格は、大学・短期大学、修業年限2年以上の専門学校を卒業していること、高校卒業の場合は、実務経験などが求められることがあります。試験会場は、各都道府県に1か所以上設置されます。
ここ数年、合格率は20〜25%程度で推移しています。2021年度は、2回の試験であわせて83,175人が受験申請を行い、16,600人が合格、平均合格率は19.96%でした。
保育士の試験 | |
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試験日 | 前期 4月に筆記試験、7月に実技試験 後期 10月に筆記試験、12月に実技試験 |
受験資格 | ・大学に2年以上在学して62単位以上修得 ・短期大学、修業年限2年以上の専門学校を卒業、1991年3月31日以前に高校を卒業 ・1996年3月31日以前に高校保育科卒業 ・1991年4月1日以降に高校卒業の場合は「児童福祉施設で2年以上かつ2880時間以上の実務経験」があること そのほかの場合もあり |
受験料 | 12,950円 |
試験会場 | 各都道府県に1か所以上設置 |
合格発表 | 前期 8月 後期 1月 |
合格基準 | 筆記試験 6割 実技試験 6割 |
合格率 | 20〜25%程度 |
目次
保育士に必要な資格・試験
保育士になるには、二通りの方法があります。ひとつは、厚生労働大臣が指定保育士養成施設として認めた大学、短期大学、専門学校に通い、所定の単位を修めて卒業すること。もうひとつは、年に2回実施される保育士試験に合格することです。保育士試験は、保育関連ではない大学や短期大学、専門学校の卒業生でも受験できるため、幅広い人が保育士試験を受けて合格して保育士になることができます。 保育士試験の受験資格は、2年以上の専門学校や短期大学を卒業したり、大学に2年以上在学して62単位以上を修得していることのほか、細かい規定があります。
受験資格
保育士試験は、学ぶ内容には関係なく、大学、短期大学、修業年限2年以上の専門学校を卒業していれば受験することができます。大学の場合は、卒業していなくても、2年以上在学し、62単位以上を修得していれば受験可能です。1991年3月31日以前に高校を卒業するか、1996年3月31日以前に高校保育科卒業している人にも受験資格があります。1991年4月1日以降に高校を卒業した人の場合は「児童福祉施設で2年以上かつ2880時間以上の実務経験」があることが受験資格となります。中学卒業の場合は、「児童福祉施設で5年以上かつ7200時間以上の実務経験」があることが必要です。海外の学校を卒業した場合は、個別に判断されます。
保育士試験
保育試験は年2回、春と秋に行われます。2日かけて行われる筆記試験と1日で行われる実技試験が課され、筆記試験に合格した人だけが実技試験に進むことができます。 筆記試験では、9科目、全160問が出題され、すべてマークシートによる選択式です。実技試験は「音楽表現」「造形表現」「言語表現」の3分野の中から2分野を選択します。筆記試験、実技試験とともに試験結果通知書が受験者に郵送されます。受験料は12,950円です。
保育士試験【2021年度】の合格率・難易度
2021年度の保育士試験は、 前期試験が、4月17日(土)・4月18日(日)に筆記試験、7月4日(日)に実技試験が行われました。後期試験は、10月23日(土)・10月24日(日)に筆記試験、12月12日(日)に実技試験が行われました。筆記試験は、9科目すべてで6割以上の得点をすると合格となり、合格者だけが実技試験に進めます。実技試験も6割以上の得点で合格となります。前期・後期あわせて83,175人が受験申請を行い、16,600人が合格、平均合格率は19.96%でした。
合格基準
保育士試験の合格基準は、筆記試験では、9科目すべての科目で6割以上の得点をすることです。合格した科目は受験年を含めて3年間有効で、有効期間内での受験では、合格した科目の受験が免除されます。筆記試験で9科目すべて合格した人だけが、実技試験に進むことができ、実技試験では選択した2分野ともに6割以上の得点が必要です。実技試験では、1分野のみ合格しても翌年以降に持ち越すことはできません。1度の受験で2分野とも6割以上の得点をする必要があります。
保育士国家試験合格基準 | ||
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筆記試験 | 9科目、160問が出題される | 全ての科目で6割以上の得点が必要。合格した科目は受験年含め3年間有効 |
実技試験 | 3科目から2科目を選択して受験 | 2分野とも6割以上の得点が必要。 |
合格者数と合格率
保育士国家試験の合格率は、過去7年間では、20%〜25%程度で推移しています。2021年度の試験では、前期・後期合わせて83,175人が受験申請して16,600人が合格、合格率は19.96%でした。
合格者数と合格率
厚生労働省発表資料より
難易度
保育士試験の合格率は、20〜25%程度。難易度は高いといえます。筆記試験では、科目ごとに合格基準が設定され、1科目でも6割に満たないものがあれば、実技試験に進むことはできません。また、筆記試験だけではなく、実技試験も課されるため、しっかりとした準備が必要になることも、難易度が高くなる要因です。ただし、実技試験のみの合格率は80%を超えるというデータもあり、筆記試験を突破することが特に難しいといえるでしょう。
受験者数の推移
受験申請者数を見ると、増加傾向にあります。保育士の不足が社会問題となるなか、保育士を増やすため、2015年からは、地域限定で保育士試験を年2回行うようになり、翌2016年からは全国で年2回になりました。2020年は新型コロナウィルス感染症の影響で前期筆記試験が中止となったため、この年の受験申請者数は減少しています。保育士のニーズはしばらく高い状況が続くので、受験者も増える傾向が続くと予想されます。
保育士試験 受験者数
厚生労働省発表資料より
保育士試験【2023年】の概要
2023年の保育士試験の概要を説明します。前期試験は4月に筆記試験、7月に実技試験、後期試験は10月に筆記試験、12月に実技試験が行われます。実技試験の合格発表は、それぞれ8月、2024年1月に予定され、受験者には実技試験結果通知書が送付されるか、ホームページ上で確認できるようになります。試験会場は、各都道府県に1か所以上設置される予定です。
試験日
2023年の保育士試験は以下のようになっています。前期試験は、筆記試験が4月22日(土)、23日(日)、実技試験は7月2日(日)に行われます。後期試験は、筆記試験が10月21日(土)、22日(日)、実技試験は12月10日(日)に行われます。
試験会場
各都道府県に1か所以上設置されます。試験日が近づき、試験会場が決定すると、試験運営を行う一般社団法人全国保育士養成協議会のホームページに順次掲載されます。
合格発表
筆記試験の結果は、前期は6月、後期は11月から12月にかけて郵送、もしくはホームページ上のマイページで発表され、筆記試験が全ての科目で合格した人には、同時に実技試験受験票が送られます。実技試験の結果は、前期は8月、後期は1月に送付されます。
解答発表
保育士試験の筆記試験の正答発表は、試験の約1カ月後に試験を運営する一般社団法人全国保育士養成協議会のホームページに掲載されます。実技試験では正答発表はありません。
受験料
受験料は12,950円です。筆記試験で免除の科目があっても受験料は変わりません。受験申請がオンラインの場合は、クレジットカードかコンビニエンスストアで支払いを行います。郵送による受験申請を選択した場合は、郵便局の窓口で専用の振替振込用紙で払い込みます。
受験手続き
受験申請の手続きは、オンラインか郵送かを選べます。オンラインの場合は受験申請ページにアクセスし、郵送の場合は、受験申請の手引きをまず請求し、決められた受付期間内にそれぞれ手続きをします。 2023年前期試験のオンライン受験申請期間は1月17日(火)午前10時から2月6日(月)午後5時まで、郵送の場合の受験申請期間は1月17日(火)から 2月6日(月)までで、当日消印有効です。
試験科目・出題数・試験時間
筆記試験は全部で9科目あります。「保育原理」「教育原理」「社会的養護」「子ども家庭福祉」「社会福祉」「保育の心理学」「子どもの保健」「子どもの食と栄養」「保育実習理論」の9科目です。
実技試験は、ピアノ、アコーディオン、ギターのいずれかを使って弾き歌いを行う「音楽に関する技術」、当日発表される題材を絵画で表現する「造形に関する技術」、童話や昔話などを題材にお話をする「言語に関する技術」 の3科目から2科目を選択します。音楽と言語では、課題曲や課題のおはなしのタイトルが「受験申請の手引き」で発表されるので、試験本番までに練習することができます。 筆記試験は「教育原理」「社会的養護」の2科目は各10問50点満点で試験時間は30分、それ以外は各20問100点満点で、試験時間は1時間です。
時間 | 試験科目 | 試験時間 |
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筆記試験1日目 前期: 4月22日(土) 後期:10月21日(土) | 保育の心理学 | 11:00~12:00 |
保育原理 | 13:00~14:00 | |
子ども家庭福祉 | 14:30~15:30 | |
社会福祉 | 16:00~17:00 | |
筆記試験2日目 前期: 4月23日(日) 後期:10月22日(日) | 教育原理 | 10:00~10:30 |
社会的養護 | 11:00~11:30 | |
子どもの保健 | 12:00~13:00 | |
子どもの食と栄養 | 14:00~15:00 | |
保育実習理論 | 15:30~16:30 | |
実技試験 前期:7月2日(日) 後期:12月10日(日) | ①音楽に関する技術 ②造形に関する技術 ③言語に関する技術 2科目を選択 |
保育士試験の勉強方法
保育士試験は、幅広い人に受験資格のある試験です。保育の専門的な学校に通っていない人も独学で資格取得できるように、各種テキスト、参考書、問題集などが出版されているほか、通信講座なども開かれています。対面での講座を開く学校もあります。
独学
保育士試験は、受験者も多い試験のため、さまざまな参考書や問題集が発行されています。参考書でまず基本の知識を身につけて、問題集で実力を確認していきます。自分に合った参考書や問題集を選ぶこと、試験までの間に力をつけられるよう、勉強の計画をしっかり立てることが必要です。過去問題を解けるアプリなどもよく利用されています。
講座を受講
通信講座や通学講座を受講する方法は、独学で参考書などを買う場合よりもお金がかかりますが、勉強のスケジュールも立ててもらえて、合格に必要な知識を効率よく、漏れなくつけられる利点があります。わからないところを指導してもらえたり、通学コースでは、実技試験の指導をしてもらえることもあります。
模擬試験
通信講座や通学講座を受講する方法は、独学で参考書などを買う場合よりもお金がかかりますが、勉強のスケジュールも立ててもらえて、合格に必要な知識を効率よく、漏れなくつけられる利点があります。わからないところを指導してもらえたり、通学コースでは、実技試験の指導をしてもらえることもあります。