歯科衛生士は勝ち組?将来性とキャリアを拡大する方法 教えてグッピー | 医療・介護の求人・転職・募集ならグッピー
2024年7月8日更新

歯科衛生士は勝ち組?将来性とキャリアを拡大する方法

歯科衛生士は勝ち組?

「勝ち組」「負け組」という言葉を聞いたことがある方は多いかと思います。この記事では、勝ち組と称されることの多い国家資格を必要とする職業の一つ、歯科衛生士について解説します。

勝ち組ってそもそもなに?

一般的には、何らかの分野において収入が多い人や地位が高い人を勝ち組、そうではない人を負け組といいます。また、ビジネスもプライベートも、すべてが順風満帆な生活を送っている人を「人生の勝ち組」と呼ぶこともあります。正確な定義はありませんが、収入が一つの基準になっている言葉であることがわかるかと思います。

高収入=勝ち組?

しかし、時代は令和。多様性の時代に「高収入」に価値を置く人ばかりではないはずです。2015年にノーベル経済学賞を受賞したアンガス・ディートン教授による、「年収約800万円を超えてからは、幸福度と年収に相関関係が見られなくなる」という研究結果を目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。

日本の内閣府が行った調査においても、「年収700万円以上1,000万円未満の人と、年収1,000万円以上2,000万円未満の幸福度に大きな差はない」という結果が出ています。

安定性や将来性も大切な要素

一定のラインを超えた後は収入と幸福度が比例しないとわかっている今、高収入かどうかだけを勝ち組の基準にするのも、「勝ち組/負け組」と二分化するのも前時代的だといえます。

しかし、収入がある程度なければ生活はままなりませんし、プライベートの充実やスキルアップをするためにも、収入は必要です。また一時的な収入より、生涯を通して安定的に得る収入が大切という見方もあるでしょう。

歯科衛生士は勝ち組?

歯科衛生士の年収の現状について詳しくみていきます。

日本歯科衛生士会の「歯科衛生士の勤務実態調査(令和2年)」によると、常勤歯科衛生士の平均年収は「300万円以上 400万円未満」が最多の35.3%となりました。非常勤歯科衛生士の場合は、「130万円未満」が58.2%で最多となります。

歯科衛生士の年収分布

日本全体の給与所得者と比較

歯科衛生士の平均年収は404万円(賃金構造基本統計調査)となっており、日本全体の給与所得者の平均年収である458万円(令和4年分 民間給与実態統計調査)より、50万円ほど低い額となっています。しかし、女性のみに絞った場合は314万円が日本の給与所得者の平均年収となるため、その額と比較すると90万円ほど高いことがわかります。

また、日本全体の年代別の平均年収は、20~24歳が273万円、25~29歳が389万円、30~34歳が425万円、35~39歳が462万円、40~44歳が491万円、45~49歳が521万円、50~54歳が537万円、55~59歳が546万円、60~64歳が441万円、65~69歳が342万円、70歳以上が298万円です。

年齢別歯科衛生士の年収

年齢年収
20~24歳311万2,300円
25~29歳364万8,700円
30~34歳402万1,400円
35~39歳367万700円
40~44歳384万1,700円
45~49歳471万6,200円
50~54歳444万7,000円
55~59歳390万3,700円

厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」より

これに対し歯科衛生士の年代別の平均年収は、20~24歳が311万円、25~29歳が364万円、30~34歳が402万円、35~39歳が367万円、40~44歳が384万円、45~49歳が471万円、50~54歳が444万円、55~59歳が390万円となっています。

歯科衛生士が勝ち組なのはその安定性

これらのことから、日本全体の平均年収よりは低いものの、年代別での年収差があまりなく、年齢を重ねても一定水準以上の年収を維持しやすい職業だということがわかる結果になっています。

歯科衛生士が勝ち組と称されるのは、経済的な安定のほか、求人数の多さや全国の歯科医院に貢献できる技術力や専門性が評価されたからだと考えられます。

歯科衛生士の価値をより高めるスキル

ここからは歯科衛生士として価値を高め、将来的に安定して収入を作るためのスキルについてまとめます。

臨床の基礎となる力

どんなに高収入の人も、基礎なくして理想の年収には達していません。歯科衛生士になったら数年は腰を据え、基本技術や知識を身につけています。最初に磨いた基礎は、歯科衛生士として今後のキャリアを築くための土台となります。行動量を意識してどんな業務にも積極的に取り組み、好きで得意な分野を見つける視点が大切です。

高度な専門知識や技術力

基礎力が身についてきたら、より広い分野を対応できるように高度な専門知識や技術を身につけます。たとえば矯正歯科や審美歯科では、矯正装置の接着やホワイトニングなど歯科衛生士が担当する業務も広く、専門知識と技術が求められます。勤務先での仕事だけでは勉強できない場合は、研修会や学会に参加したり、副業・転職をしたり、主体的な行動がカギとなります。

リーダーシップや指導力

勤務先での昇進を目指していく場合、リーダーシップや指導力は必須です。スタッフへ指導したり、スタッフ同士のチームワークを高めたり、医師とのスムーズな連携に協力したり、組織をマネジメントしていくうえでの立ち振る舞いが求められるでしょう。

提案力、営業力

歯科医院によっては、インセンティブ報酬が設けられていることがあります。その場合、歯ブラシやケア用品の販売、自費治療の提案などは収入に直結しますので、注力して営業してみましょう。インセンティブがない場合でも、歯科医院全体での売上に貢献できる人は昇給につながりやすいです。また、提案力や営業力は将来独立した場合にも身に着けておいて損はありません。

歯科衛生士の年収を左右する環境

歯科衛生士の収入は、歯科業界の状況や働く環境にも左右されます。そうした情報を自ら取りにいくことも重要です。

歯科医院の収益

歯科医院に勤務する場合は医院の経営状況によります。総売り上げから家賃や人件費などの固定費、材料費や機材費などの変動費を引いた額が、歯科医院の利益となります。

患者数や診療日数、顧客単価

提供している診療メニューにもよりますが、「月間の患者数」「保険診療もしくは自由診療の客単価」「診療日数」をかけることで、おおまかな売上金額を算出することが可能です。たとえば、保険診療の平均顧客単価は8,000円、自由診療の顧客単価は20,000円、月間の患者数〇〇人、診療日数〇日、といった数字が入ります。

また、口管強など歯科衛生士を配置することで加算のある医院であれば、加算点数がそのほかの歯科医院より多くなります。

歯科業界での相対的な年収

歯科医師の平均年収は、約600万円となっています。これは、歯科医院や病院に勤務する歯科医師全体の平均額です。常勤・非常勤は問いません。

それに対し歯科衛生士は、平均年収が404万円となっています。年収分布のグラフを見てもわかる通り、歯科医院に勤務する場合、年収の現実的な上限は600万円ほどと考えられます。それ以上の年収を目指す場合は、歩合給の歯科医院で働く、セミナー業や他院でのアルバイトなどプラスアルファの活動をするといった工夫が必要になってきます。

勝ち負けに左右されないキャリアの作り方

歯科衛生士としてやりがいを感じながら働くためには、収入面以外にも目を向けておくことが大切です。「勝ち組」「負け組」といった言葉に左右されないために、以下を参考にしていただければと思います。

仕事と生きがいを考える

勝ち負けに左右されずにキャリアを成功に導くためには、生きがいや働きがいに注目することが大切です。しかし、自分にとって何が生きがいなのか、働きがいのある仕事とは何なのかがあいまいな方も多いかと思います。そのような際は、ikigaiベン図が手がかりになります。

ikigaiベン図

ikigaiベン図とは、欧米で話題になったベン図のことです。ベン図は、違う領域を示す円を複数個重ねて共通点や関係性を見出す図のことであり、ikigaiベン図は自分の強みやキャリアの方向性を導き出すために用いられています。

このikigaiベン図では、得意なこと(What you are good at)、好きなこと(What you love)、社会が必要とすること(What the world needs)、収入を得られること(What you can be paid for)の4つの円からなるベン図を作成し、それらが重ね合わさる部分を探すことで、自分が何に生きがいを感じるのかを見つけます。

実際にベン図を作成してみると、「社会に必要とされているし収入も得られるけど、得意とはいえない」など、4つの円のうちのどれかが欠けていることに気づくこともあるかと思います。もちろん、その状態でも働いていくことはできますが、どうせならすべてを満たす部分を見つけ、その領域で働いていったほうが生きがいや働きがいを感じやすくなるでしょう。

影響を与える人の範囲を考える

キャリアアップを目指すうえで、頭に入れておきたいことがあります。それは「自分が影響を与える人の範囲」を一つの視点として持っておくことです。

例えば、歯科衛生士として働き始めて間もないころは、自分の業務が影響を与える相手はほとんどの場合、担当した患者さんのみかと思います。その後、経験を積んでリーダーや主任となれば同僚として働くスタッフがその影響範囲に加わり、同僚に与えた影響は、その同僚が受け持っている患者さんへと広がります。つまりは、歯科医院に来るすべての患者さんに影響範囲が広がることになるのです。

また、歯科衛生士に向けたスキル支援や、歯科医院向けのセミナー開催などで、勤務している歯科医院だけでなく院外へ影響を与えることもできます。このように、自分が影響を与える人の数や範囲を一つの視点として持っておくと、キャリアや年収を拡大する方向を見つけやすくなります。

まとめ 

長い仕事人生を終えたときに、自分ならどのように感じたいでしょうか。「たくさんお金を稼いでよく頑張ったな」と思いたい方もいれば、「仲間に恵まれた、良い仕事人生だったな」と思いたい方、「たくさんの患者さんに感謝されて、良い時間を過ごせたな」と思いたい方など、どのように感じたいかは人それぞれかと思います。「高収入であることが幸せな人生を送るためには欠かせないと考えていたけれど、実は望んでいたことはほかにあった」と、仕事を辞めてから気づくこともあるかもしれません。だからこそ、収入だけで勝ち負けをジャッジするのではなく、自分にとってバランスの良い価値観を見つけたいものです。

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