生活支援員になるには
生活支援員とは障害者が自立した生活ができるように生活上の支援をする職種です。生活支援員になるために必須の資格はありませんが、福祉系の知識や実務経験があると業務で大いに役立ちます。キャリアの幅を広げるには実務経験を積み、相談支援従事者初任者研修を受け「相談支援専門員」の資格を得るなどの方向性もあります。主な就業先は障害者支援施設です。支援の現場では、利用者の尊厳を重んじる姿勢、礼儀と共感をもって利用者に接する姿勢が求められます。
目次
生活支援員になるための資格・試験
生活支援員になるために必須の学歴や資格はなく、未経験でも就業可能です。しかし専門的な知識や技術が求められるため、福祉系の大学や短大、専門学校を卒業していること、介護関連の実務経験があること、また国家資格である「社会福祉士」や「精神保健福祉士」の資格があるなど、経験や専門性を持つ人は歓迎されます。また施設によっては、このような経験や資格を応募条件としています。なお、公営の施設で働く場合は、必要に応じて公務員試験を合格する必要があります。
生活支援員を養成する大学・学費
生活相談員を養成するための養成機関はありませんが、福祉系の専門学校、短大、大学などで修学することで、実務で必要な知識やスキルを身につけることができます。また「社会福祉士」「精神保健福祉士」といった国家資格を受験するためには、4年制大学を卒業したり、短大卒業後に一定期間の実務経験を経たりする必要があります。これらの資格の取得方法については個別に詳述している記事がありますので、参照してみてください。
生活支援員の就職先
生活支援員は障害者を支援する施設にて就業します。障害者が入居して24時間態勢でサポートする入所サービスを提供する事業所に加え、生活介護、機能訓練、生活訓練、就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型などの福祉サービスを提供する事業所があります。以下に代表的な事業所を紹介します。なお、これらのうち複数のサービスを提供する施設を多機能型事業所と言います。
障害者支援施設
障害者支援施設とは常時介護を要する人で18歳以上の方を対象とした入居型の施設です。入所サービスだけでなく、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援といった福祉サービスも提供を提供しています。障害者の方の日常生活をトータルでサポートしてくれるのが障害者支援施設となっています。
グループホーム
グループホームとは、障害のある人や高齢者が共同生活を送る福祉施設です。一般的には、5〜9人の利用者が共同生活をし、専任の介護スタッフが24時間体制で支援を行います。食事や入浴、排泄、服薬などの介護支援や、社会的な交流や娯楽活動などを提供します。障害者支援施設と提供サービスは似ていますが、運営母体や利用対象者が異なります。
就労移行支援事業所
就労移行支援事業所は、障害を持つ人々が就職しやすいよう、職業訓練やアドバイスを提供し、就労後のサポートを行います。個別のニーズに合わせた職業訓練やスキルアップの支援、職場体験や実習、求人情報の提供、履歴書や面接の指導、就労後のフォローアップなどの支援をします。
就労継続支援(A型・B型)事業所
就労継続支援(A型・B型)事業所は、一般企業に就労することに困難を抱える障害者に職業訓練や生産活動を支援するサービスです。就労継続支援A型事業所は、障害を有する人が一定の支援を受けながら雇用契約を結んで働くことができる事業所です。一方、就労継続支援B型は軽作業や訓練などを通じて、就労に必要なスキルを習得することができる制度です。雇用契約は結びませんが、支援を受けながらの自分のペースで働くことができます。年齢制限はなく、A型と比べると障害による困難が比較的大きい人が対象になります。
生活支援員の仕事内容
生活支援員の仕事は、障害者福祉施設の利用者が快適で自立した生活ができるように、相談・助言、職業指導、就労支援、作業指導などを行うことです。具体的には、入浴・排泄・食事などの身体介助や、洗濯や掃除といった家事のサポート、生活における困り事に対する指導や相談などです。
担当する利用者に多面的な支援が必要な場合があり、特に日常生活に関する指導や相談を担うのが生活支援員です。同じく障害者を支援する職種としては、技術指導や職業訓練を行う職業指導員、求職活動の支援や職場開拓等を行う就労支援員、作業を通じて必要な指導を行う作業指導員などがあります。施設においては多様な専門性を持つスタッフと協働し、障害者の自立や社会参加などをサポートします。
生活支援員の月収・年収・賞与
厚生労働省の賃金構造基本統計調査によれば、生活支援員の平均年収は約403万7,000円で、月収では約27万8,300円です。賞与は約69万7,400円です。ただしこの統計には、生活支援員以外も含まれた統計であることに注意してください。
生活支援員の給料相場
年収 | 403万7,000円 |
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月給 | 27万8,300円 |
賞与・ボーナス | 69万7,400円 |
令和3年賃金構造基本統計調査
適性・向いている人
生活支援員には何よりも重要な基本的資質として、利用者の尊厳を重んじる姿勢、敬意と共感をもって利用者に接することが求められます。これに加えて、コミュニケーション能力、観察力、身体的な作業に耐える体力などがあることでより活躍できるかもしれません。
コミュニケーション能力
生活支援員には、利用者やその家族と密接な関係を築くために、コミュニケーション能力が必要です。利用者の状況や気持ちに寄り添い、的確なアドバイスを行ったり、相手の話をよく聴いて理解することが重要です。
観察力
生活支援員は、利用者の状況や様子を常に観察することが求められます。利用者の中には持病を持っている人や身体状況が急に変わるおそれのある人もいます。利用者の日常生活や健康状態を的確に判断し、必要なサポートを提供するために、観察力が必要です。
体力
生活支援員には、利用者の生活支援に必要な身体的な作業が求められます。例えば、利用者を移動させるための介助、掃除や洗濯、料理など、さまざまな作業があります。予想外のことも起こりえますから、基礎的な体力を維持している必要があります。