サービス提供責任者になるには
資格・要件
サービス提供責任者とは訪問介護事業所におけるリーダー的なポジションで、資格ではなく職務の名称です。利用者やその家族から必要な情報を聞き取り、ケアマネジャーと連携して介護サービスに関するケアプランを作成するのが主な業務です。
目次
今回の 教えてグッピー サービス提供責任者 では、サービス提供責任者になるまでのルートや仕事内容について紹介します。
サービス提供責任者になるための資格・要件
サービス提供責任者になるためには、介護職員実務者研修(以下、実務者研修)か介護福祉士国家資格のいずれかが必要です。介護福祉士は一般的に取得が難しいため、介護福祉士をまだ持っていない方や、受験資格がなくサービス提供責任者を目指すのみであれば、実務者研修の修了が近道です。ただし、介護福祉士はケアマネジャーの受験資格にもなるなど、介護職としてのキャリアに大きな価値がある資格です。そのため、最初から介護福祉士国家資格を目指すのも一つの選択肢です。
介護福祉士実務者研修
介護職には幅広い業務があり、キャリアアップのためには複数の研修を受けたり資格を取得したりする人が少なくありません。実務者研修を受けることで、訪問介護事業の運営責任者である「サービス提供責任者」になることができます。また、介護福祉士国家資格の受験資格の一部を満たすことができます。
介護福祉士国家資格
国家資格である介護福祉士国家試験に合格すると介護福祉士になることができます。国家試験の受験のためには、3年以上の実務経験などに加えて、実務者研修の修了が必須です。サービス提供責任者に関心がなければ、実務者研修を急いで修了する必要はないかもしれません。3年間の実務経験終了のタイミングで実務者研修を修了すれば、そのまま国家試験の勉強につなげることができるからです。
介護福祉士国家試験ついての詳細はこちらをご覧ください。
サービス提供責任者を養成する学校はある?
サービス提供責任者は職名であって資格ではありません。スクールや教育機関に通うとすれば、その資格要件である介護福祉士実務者研修や介護福祉士国家試験を取得するためでしょう。初任者研修や実務者研修は、社会福祉協議会や企業が提供しているスクールや通信講座、自治体の職業訓練所などで受講するのが一般的です。費用についてはスクールによって異なりますが、実務者研修は5〜10万円がおおよその相場のようです。また、ハローワークの職業訓練であれば無料で受講することもできます。選考があり誰でも可能なわけではありませんが、興味があれば自治体のハローワークで相談してみてください。
介護福祉士試験の受験資格を取得するにはさまざまなパターンがあります。詳しくは 介護福祉士の国家試験 の記事をご確認ください。
私立の大学・専門学校は学校ごとに学費が大きく異なりますが、地方に比べると東京や大阪などの都市部で学費が高い傾向があります。また、教材費や実習費が別途必要になる学校もあります。多くの学校では奨学金制度があります。
サービス提供責任者の就職先
サービス提供責任者の主な勤務先は訪問介護事業所です。訪問介護事業所とは、居宅介護サービスの一つで、利用者が自宅で自立的な生活できるように支援するサービスを提供しています。サービス提供責任者は、訪問介護計画の作成、ヘルパーの管理・指導、訪問介護業務を担当し、事業所における中心的役割を果たします。
訪問介護事業所では、サービス提供責任者の配置基準があります。各施設に必ず1名以上のサービス提供責任者が必要で、施設の利用者数次第ではそれ以上の配置人数が必要な場合があります。他にも、訪問介護事業所が併設されている施設であれば、有料老人ホーム、特別養護老人ホーム、老人保健施設などで働くこともあります。
サービス提供責任者の仕事内容
サービス提供責任者は利用者のケアプランに関して主導的な立場にあります。訪問介護計画書を作成したり、家族と面談したり、その業務は多岐に渡ります。
訪問介護計画書の作成
サービス提供責任者は訪問介護計画書を作成します。訪問介護計画書は、アセスメント情報とケアマネジャーが作成したケアプランをもとにして、利用者の課題・目標、ケアの具体的な支援内容、実施予定日など、訪問介護におけるケアプランを具体的に文書化したものです。サービス提供責任者は利用者の日常生活や状況を考慮し、訪問介護の目標を明確化し、必要なサービス内容を記述する必要があります。
利用者の申し込みに関する調整
訪問介護サービスを利用希望者からの相談をベースに、利用者やその家族が必要としている内容を把握し、サービスを提供する環境を整えます。サービス提供責任者は、利用申し込みの対応・調整や相談業務を担当します。利用者の要望に応えられるかどうかを検討し、調整することが役割です。
利用者さんおよび家族とのアセスメント
訪問介護計画書を作成するために、面談や利用者さんの自宅訪問を行います。訪問介護サービスの利用にあたり、利用者の自宅を訪問します。自宅環境を見ながら、家族から問題や要望を聞き取り、提供する介護サービスの情報を整理します。
サービス担当者会議への参加
サービス担当者会議に出席するのもサービス提供責任者の業務の一つです。ケアプランに対する意見や提案を出す必要があります。サービス担当者会議とは、ケアプランの原案についてサービス機関の担当者が話し合う会議です。ケアマネジャーが司会を行い、利用者さまやそのご家族も会議に参加します。
その他の業務
ほかにも、ヘルパーが初めて訪問する際や経験が浅い場合の同行訪問や、ヘルパーの勤怠管理や技術指導といったサポート業務もサービス提供責任者の業務の一つです。利用者の自宅を訪問するモニタリング業務を定期的に行い、利用者の状態やケア進行を評価したり、幅広い業務があります。
サービス提供責任者の月給
厚生労働省の令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果によれば、訪問介護事業所における常勤のサービス提供責任者の平均月給は32万7,020円でした。一方でサービス提供責任者ではない介護職員の月給は29万6,700円です。
サービス提供責任者 | サービス提供責任者でない | |
---|---|---|
月給 | 32万7,020円 | 29万6,770円 |
勤続年数 | 9.6 | 7.0 |
また、厚生労働省の賃金構造基本統計調査にはサービス提供責任者についての統計情報はありませんが、参考としてサービス提供責任者を含む介護職員全体の平均年収は362万9,300円です。月収では約25万7,500円となっています。
介護職員全体 | |
---|---|
年収 | 362万9,300円 |
月給 | 25万7,500円 |
賞与 | 53万9,300円 |
適性・向いている人
サービス提供責任者は訪問介護施設において実務面でのリーダー的なポジションです。強烈なリーダーシップは必ずしも必要ありませんが、利用者や同僚と良好な関係を構築・維持できるコミュニケーションスキルが求められます。加えて人の役に立つことを好むようなマインドセットや向上心があれば、サービス提供責任者として高い適性を持っているといえそうです。
コミュニケーション能力
サービス提供責任者にはヒアリング能力が重要です。利用者やその家族、同僚や関係機関との円滑なコミュニケーションを通じて、サービス内容を調整し、最適な支援を提供することが求められます。傾聴力を持ち、相手の話に耳を傾け、理解しようとする姿勢が大切です。また、橋渡し役として、聞き出した意向を適切に伝える能力も不可欠です。
向上心
サービス提供責任者には、向上心が高いことが重要です。利用者やその家族からの要望に応え、よりよいサービス提供を目指して、自分で学びながら業務を進める姿勢が求められます。現状維持にとどまらず、利用者一人ひとりに寄り添い、知識やキャパシティを広げる努力をすることで、サービス提供責任者としての活躍が期待できます。
人の役に立つのが好き
人の役に立つことが好きな性格は、サービス提供責任者として重要な適性です。介護サービスを通じて利用者やその家族の支援に喜びを感じたり、感謝の言葉や評価を受けたりすることでモチベーションが高まる性格であれば、サービス提供責任者としての業務を高い水準で維持できるでしょう。サービス提供責任者は利用者の充実した生活をサポートすることが根幹の業務であり、その役割を果たすためには、人の役に立つことに情熱を持つことが大切です。