施設長(管理者)に必要な資格とは?特養、老健など施設別に解説 教えてグッピー | 医療・介護の求人・転職・募集ならグッピー
2024年2月28日更新

施設長(管理者)に必要な資格とは?特養、老健など施設別に解説

施設長とは、介護施設の管理・運営を担う責任者のことで、施設管理者といった呼び方をすることもあります。 介護施設は対象や提供サービスによっていくつかの種類があり、また、施設によって施設長になるための資格要件が異なります。いずれの施設においても、経営目標を定め、施設の管理・運営、人材マネジメントなどの調整を行うことが主な業務です。

施設長になるには

今回の 教えてグッピー 施設長 では、介護施設における管理者の施設長について、資格要件や仕事内容などを紹介します。

施設長になるための資格

施設長になるための要件は施設によって異なります。下記では、施設長になるための資格要件をご紹介します。ここに記載がない介護施設についてたとえば、有料老人ホームでは施設長になるために必須となる資格要件はありません。ただし、現場経験を積んだ後に関連資格を取得することが施設側から求められることが多いようです。

特別養護老人ホーム(特養)

特別養護老人ホームで施設長になるためは、下記のいずれか1つの要件を満たすことが必要です。

✓社会福祉主事の要件を満たしている
✓社会福祉事業に2年以上従事した経験がある
✓社会福祉施設長資格認定講習会を受講している

社会福祉主事任用資格の取得するためにはさまざまな方法があります。また上記の社会福祉事業とは、社会福祉法第2条に定められた福祉事業を示しています。社会福祉施設長資格認定講習会は各自治体において実施されており、自治体によって講習を受けるための条件が設けられている場合があります。

介護老人保健施設(老健)

老健の施設長は原則的には医師しかなれませんが、都道府県知事の承認を受ければ、医師以外の人でも施設長になることができます。都道府県知事の承認を受けるための基準は自治体によって異なりますが、老健での1〜2年以上の経験を必須として、そのほかの経歴や経験によって総合的に判断されるようです。

✓医師資格を有している
✓都道府県知事の承認を受けている

介護療養型医療施設

介護療養型医療施設の施設長になるためには医師資格を有している必要があります。老健とは異なり、介護療養型医療施設は医療施設のため、例外なく医師でなければ施設長になることはできません。なお、介護療養型医療施設は2024年3月に廃止されることが決まっています。

✓医師資格を有している

介護医療院

介護医療院の施設長になるには原則的には医師免許を有する必要がありますが、自治体によっては医師以外でも施設長になれる場合があります。この承認を受けるための基準は公開されておらず、自治体ごとに異なる可能性があります。

✓医師資格を有している
✓都道府県知事の承認を受けている(自治体によって異なる)

認知症型グループホーム

認知症型グループホームの施設長になるには、下記の資格要件をともに満たす必要があります。

✓認知症介護に3年以上従事した経験がある
✓認知症対応型サービス事業管理者研修を修了している

施設長の就職先

施設長としての就職先には介護施設や病院などがあります。ここでは施設長として働くことができる介護施設の一部を紹介します。

特別養護老人ホーム(特養)

特別養護老人ホームは、在宅での生活が困難な要介護の高齢者が入居する「介護保険施設」の1つです。運営母体は社会福祉法人や地方自治体といった公的機関で、民間の有料老人ホームに比べて低料金になっています。一方で要介護3以上など、利用者の入居条件が厳しいことが特徴です。

介護老人保健施設(老健)

介護老人保健施設とは、要介護高齢者の自立を支援し、在宅復帰や在宅療養支援などのサービスを提供する施設です。入院していた患者が退院して、家庭に戻るためのリハビリとして利用されます。介護や看護といったサービスだけでなく、医師の診療や、理学療法士・作業療法士によるリハビリ支援など、医療従事者によるサポートを受けられるのが特徴の一つです。

介護療養型医療施設

介護療養型医療施設は、比較的重度の要介護者に医療やリハビリを提供する施設です。長期間の療養が前提になっています。実態調査の結果、医療療養型病院という施設と利用者やサービスに違いがなかったため、2024年3月末の完全廃止が決まっています。

介護医療院

介護医療院とは、廃止される介護療養型医療施設に代わり要介護者の長期療養を前提とした生活支援を目的とした施設です。医師の配置が義務付けられており、看取りケアや終末期医療など重度の要介護者が十分な医療ケアを受けることができる施設です。

認知症型グループホーム

認知症グループホームは、認知症を有する人が5〜9人の少人数で共同生活をするサービスを提供しています。アットホームな雰囲気で、掃除、洗濯、食事の準備などの日常生活などの共同作業を行いながら、穏やかで安定的な生活を送ることができます。

施設長の仕事内容

施設長は所属の施設にもよりますが、非常に幅広い業務に携わることになります。施設長は管理職のため、介護現場での経験は必須ではないこともあります。

施設運営

施設長は、施設の運営と管理業務を統括する立場です。施設の安定的な運営を実現するために、施設の方針や事業計画や年間目標を設定し、これにかなう施設利用者のニーズに応じたサービス内容を立案・実施します。施設の全体を見ながら注力すべき点を見極め、サービス品質の向上を目指します。

スタッフのマネジメント

従業員のモチベーション向上やチームワークの醸成によって、施設の業務効率とサービス品質の向上させていくことも施設長の重要な役割の一つです。日常的な管理業務として、勤務表の作成や労働時間管理、福利厚生の管理などを通じて、働きやすい職場環境を整備します。またスタッフの介護スキル向上のための研修やコンプライアンス教育を実施し、サービスの質を高めるための取り組みも必要です。

その他

その他の業務として、施設環境の維持・改善や関係者対応・連携などがあります。たとえば、建物や設備の管理や改修を通して、利用者へ安全で快適な環境を提供することです。また、利用者やその家族からの相談やクレーム対応を行い、行政や関連機関との調整や連携を図ります。このように施設長は非常に幅広い業務を通して、施設全体のサービス品質の維持・向上させる役割を担います。

月給・年収・給料

公益財団法人介護労働安定センターの「令和3年度介護労働実態調査」によれば、施設長の平均月収は37万87円、平均年収は520万9,242円です。平均賞与は81万8,485円ですが、勤務先によっては賞与がない場合もあるようです。同調査によれば「賞与あり」が58.6%、「賞与なし」が20.8%となっています。

施設長の年収相場

年収520万9,242円
月給37万87円
賞与・ボーナス81万8,485円

令和3年度介護労働実態調査(公益財団法人介護労働安定センター)

適性・向いている人

施設長にはさまざまなスキルが求められます。まずは施設運営のマネジメントを実行するためのリーダーシップです。そして、スタッフや利用者その家族との円滑にコミュニケーションができること、さらにはさまざまな課題に対して取り組む問題解決能力が重要です。これらは生まれ持った性質というより後天的に獲得できるスキルに類するものかもしれません。

リーダーシップ

リーダーシップは、施設長として重要な適性の一つです。組織全体のビジョンや目標を明確に示し、従業員を適切に指示、支援する能力が求められます。判断力や柔軟性も大切で、難しい判断が迫られる状況下において適切な選択をし、チームを導かなくてはなりません。リーダーシップはスキルとして後天的に獲得することもできますが、そもそも自分の気質とかけ離れている場合は、施設長にあまり向いていないこともあるでしょう。

コミュニケーション能力

コミュニケーションスキルは施設長として不可欠な能力です。施設長は、従業員、利用者、家族、行政や関連機関などさまざまな人々と円滑な対話のできる能力が求められます。またチーム内での意見交換や情報共有を適切に行い、良好な信頼関係を築くことも大切です。コミュニケーションが良好な職場環境においてはトラブルや誤解による業務の遅滞が未然に抑制され、チームとして高いパフォーマンスを維持できます。

問題解決能力

施設長はさまざまな課題や問題に直面することになります。たとえば、収益性向上、人員不足、高い離職率、施設利用者の満足度向上などです。課題を解決するためには、原因分析、適切な解決策の立案、そして実行力が求められます。さらには実施した対策の効果を評価し、必要に応じて改善や見直しを行うことで、持続的な問題解決を目指します。解決にあたる課題の優先順位や解決にさくリソースなどを勘案することも大切です。問題解決能力はあらゆる職業において重要ですが、チームを統括する施設長においては特に重要なスキルといえるでしょう。

役立つおしごと情報を発信中!教えてグッピー