介護士(介護職)の給料は?年収の推移、初任給、月収、ボーナスの相場
介護職の平均的な給料について、施設に勤務する常勤の介護職員の給与データ(令和5年賃金構造基本統計調査「介護職員(医療・福祉施設等)」)を参照して解説します。介護職員の平均年収は371万3,800円、月給は各種手当込みで26万3,600円、賞与・ボーナスの平均は55万600円となっています。
初年度の年収はおおよそ261万円程度で、40歳代では380万円超まで年収が増加していく傾向にあります。
介護職員の給料相場 | |
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年収 | 371万3,800円 |
月給 | 26万3,600円 |
賞与・ボーナス | 55万600円 |
初任給 | 21万3,800円 (20〜24歳で就業経験0年の介護職員の平均月給) |
時給 | 1,272円 |
厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」より
介護士の給料は上がっている?
また、訪問介護従事者の年収が約390万円となっており、介護職に従事している方の多くは賃金に関して満足していないという現状があります。 このような状況を受けて、介護職員処遇改善加算を算定する取り組みが行われており、2022年度には75%の事業所がこれを算定しています。
職種別にみた平均給料は上昇傾向
この加算は、介護職員の職位や職務内容に応じた賃金体系の整備、研修機会の確保、経験や資格に応じて昇給する仕組みの整備、職場環境の改善などを行っている事業所に対して行われ、加算額は職員の給与や賞与にあてられています。
目次
介護士(介護職員)の初任給
では、常勤で医療・福祉施設等に勤務する介護士(介護職員)平均的な給料をみていきます。
厚生労働省の調査によると、介護職の平均初任給(勤務経験0年の施設に勤務する介護職員の平均給与)は、20〜24歳で諸手当を除いた月給が21万3,800円、年収換算で261万500円となっています。年齢を問わず全体としては、月給が21万5,900円、賞与・ボーナス等が77万6,000円、年収換算で266万8,400円です。
介護士(介護職員)の年収
令和5年賃金構造基本統計調査によると、介護職の平均年収は371万3,800円(2023年、10人以上の事業所)です。同様の区分(「介護職員(医療・福祉施設等)」)で調査が行われている過去3年の調査結果では、令和2年は360万400円、令和3年は352万8,000円、令和4年は390万4,900円となっています。
勤務先の規模別の年収
介護職の2023年の年収を勤務先の規模別で比べると、所属人数が多い施設は給与が高くなる傾向にあります。グラフのように、1,000人以上の組織が383万2,000円でもっとも高くなっています。 次いで100〜999人の事業所が380万2,300円、10人~99人の事業所では351万9,000円、5人~9人の事業所では298万5500円となっています。
勤務先規模別 介護職員の年収
厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」より
年齢別の年収
介護職の年収を年齢別でみると、20~24歳が303万1,600円で、その後年齢とともに増加しますが、50代からは下降することが多いようです。
年齢別の年収
年齢 | 年収 |
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20~24歳 | 303万1,600円 |
25~29歳 | 336万2,600円 |
30~34歳 | 355万3,100円 |
35~39歳 | 368万6,700円 |
40~44歳 | 387万4,100円 |
45~49歳 | 381万900円 |
50~54歳 | 361万1,300円 |
55~59歳 | 355万3,200円 |
60~64歳 | 323万4,800円 |
65~69歳 | 289万5,200円 |
70~歳 | 268万4,500円 |
厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」より
介護士(介護職)の平均年収の推移
賃金構造基本統計調査による介護職の平均年収は、2020年に360万400円、2021年に352万8,000円、2022年に390万4,900円、2023年に371万3,800円と、ほぼ横ばいで推移しています。なお、2019年以前に関しては、「介護職員(医療・福祉施設等)」という現在と同様の区分がありません。
介護職 年収推移
令和5年賃金構造基本統計の「介護職員」より集計
介護職の月給
介護職の月給は、平均26万3,600円です。この中には時間外勤務などの諸手当が1万5,200円含まれており、ここから所得税や社会保険料などを引いた額が月給として支給されます。当調査の対象者の平均年齢は44.4歳、平均勤続年数が8.2年となっています。
また事業規模別に見ると、従業員数が5~9人の事業所のみ、平均年齢が50歳を超えています。そのほかの規模に関しては平均年齢の大きな差はなく、また勤続年数に関してはどの規模においても大きな違いは見られませんでした。
介護職の月給
組織規模 | 5~9人 | 10~99人 | 100~999人 | 1,000人以上 |
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月給 (手当込み) | 22万4,500円 | 25万1,800円 | 26万7,900円 | 27万6,500円 |
月給 (手当含まず) | 21万9,500円 | 23万7,900円 | 25万3,500円 | 25万3,400円 |
平均年齢 | 50.2 | 46 | 43.6 | 44.1 |
勤続年数 | 7.2 | 7.5 | 8.7 | 7.6 |
厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」より
介護職の賞与・ボーナス
介護職の賞与は、従業員が10人以上いる事業所の平均で年間55万600円です。事業所の規模が小さい順に、従業員数が5~9人の事業所で29万1,500円、10〜99人の事業所で49万7,400円、100〜999人で58万7,500円、1,000人以上の従業員がいる事業所では51万4,000円となっています。
介護職の賞与・ボーナス
組織規模 | 5~9人 | 10~99人 | 100~999人 | 1,000人以上 |
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賞与・ボーナス | 29万1,500円 | 49万7,400円 | 58万7,500円 | 51万4,000円 |
平均年齢 | 50.2 | 46 | 49.0 | 44.1 |
勤続年数 | 7.2 | 7.5 | 9.6 | 7.6 |
賃金構造基本統計調査(厚生労働省)より
介護職の時給
短時間で働く介護職の時給平均は1,272円です。事業所の規模別では、従業員数が10〜99人の小規模事業所で1,242円、100〜999人の事業所で1,267円、1,000人以上の事業所で1,398円となっており、従業員が多くなると時給もわずかながら増加する傾向にあります。
介護職の時給
組織規模 | 5~9人 | 10~99人 | 100~999人 | 1,000人以上 |
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賞与・ボーナス | 1,197円 | 1,242円 | 1,267円 | 1,398円 |
平均年齢 | 50.2 | 46 | 49.0 | 44.1 |
勤続年数 | 7.2 | 7.5 | 9.6 | 7.6 |
賃金構造基本統計調査(厚生労働省)より
公務員として働く介護職の給料
介護職の公務員としての職場は、自治体が運営する介護施設や医療機関などです。基本的には、各自治体における「福祉職」もしくは「地方公務員上級福祉職」の採用試験を受け、合格した場合に公務員として働くことができます。
給与水準は厚生労働省の地方公務員給与実態調査における福祉職を参考にすると、基本給にあたる給料月額が31万4,140円、その他の手当を合算すると33万9,619円となります。職場の規模や専門性、責任の大きさによってその価格は変動します。
介護職の地方公共団体職員平均給与額 | |
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給料月額 | 28万6,320円 |
諸手当合計 | 2万5,690円 |
平均基本給月額 | 31万2,010円 |
「令和5年地方公務員給与実態調査」より
手当・福利厚生
介護施設や病院、クリニックに勤務する介護職には、従業員及びその家族の生活を支援するために各種の福利厚生が提供されます。「法定福利」としての健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険、介護保険に加え、「法定外福利」として住宅手当、通勤手当、有給休暇、資格取得支援、出産・育児休暇、院内保育所を含む託児所・保育所の利用が可能です。これにより、従業員が生活の不安を感じることなく仕事に専念できる環境が整うとともに、モチベーションの向上にもつながります。ただし、団体によってその内容は異なります。
キャリアアップするには
これまでは資格の種類や有無による業務の差異があまり見られなかった介護業界ですが、近年では明確な役割分担が行われるようになってきています。
その結果、介護職におけるキャリアパスも整備されてきており、初任者研修修了者は介護福祉士を目指し、介護福祉士に合格している者はチームメンバーの指導やマネジメントを行いながら、上級資格である認定介護福祉士を目指すようになってきました。
資格に応じて手当てが付く職場も多く、業務の範囲を広げ、リーダーシップを発揮することは給与アップにつながります。
認定介護福祉士へのステップアップ
認定介護福祉士とは、介護福祉士資格取得後の実務経験が5年以上あり、そのほかの研修やレポートなどの要件も満たした者が、養成研修を受講・修了することで認定が受けられる資格です。介護職における専門的で高度な知識と技術、医療連携やマネジメントに関するスキルを習得した介護福祉士に認定される資格であり、2023年末時点では172名が認定を受けています。