看護師になるには?資格の取り方やルート、国家試験・養成課程を徹底解説
看護師になるには、看護師国家試験に合格する必要があります。看護師国家試験は受験資格が定められており、高校を卒業後に看護師の養成課程を持つ学校に入り、必要な課程を修了・卒業した人が受験することができます。看護師養成課程は、3年以上の学習が義務付けられ、大学や短期大学、専門学校のほか、中学卒業後に入学できる5年一貫教育校などがあります。
看護師国家試験は年1回2月に実施され、合格率は90%程度です。看護師国家試験に合格後、申請すること看護師免許を取得できます。
目次
看護師の求人
看護師になるために必要な試験・資格
看護師は、看護師国家試験を受験して合格することで取得できる国家資格です。国家試験には受験資格があり、看護師を養成する学校に入学し、必要なカリキュラムを全て修めて卒業すると(卒業見込み含む)、受験資格を得ることができます。免許は更新制ではなく、一度取得すると一生涯有効です。
看護師国家試験は年1回、2月中旬の日曜日に行われます。合格発表は3月の下旬です。合格率は90%前後で推移しており、学校の勉強に真面目に取り組んでいれば、合格できるといえます。2021年の試験では、66,124人が受験し、59,769人が合格。合格率は90.4%でした。落ちてしまった場合は、翌年以降の試験で再挑戦ができます。
看護師国家試験の合格者数と合格率
厚生労働省発表資料より
看護師を養成する大学・学費
看護師になるためには、看護師養成課程を持つ学校で3年以上学ぶ必要があります。看護師の養成校には、4年制の大学、3年制の短期大学、3年制または4年制の専門学校があります。中学卒業後に入学できる5年一貫教育の看護師養成校もあります。文部科学省が所管する4年制の大学は、国立が42校、公立が51校、私立が198校、3年制の短期大学はすべて私立で13校あります(2022年4月時点で学生募集をしている学校)。
看護学部の卒業までの学費は、4年制の国公立大学の看護学部で250万円程度、私立大学で450万円~700万円程度です。3年生の短大では、国公立で約250万円、私立で約400万円。3年制の専門学校では、国公立で60万円程度、私立で250万円程度となっています。教材費や実習費は、学費とは別になる学校もあり、費用がさらに増えるケースもあります。多くの学校では、奨学金制度を整備しています。
看護師の就職先
看護師の就職先の71%が病院です。病院とは、入院用のベッドを20床以上持っている医療施設で、看護師総数121万8,606人のうち、86万3,402人が病院で働いています。13%、15万5,986人は診療所に勤務しています。診療所とは、入院設備のないところや、あってもベッドが20床未満の医療施設です。介護保険施設等に7.3%、8万9,270人、訪問看護ステーションに4.2%、51,740人が勤めています。看護師として様々な経験を積んだ後、看護師養成所などで後進の指導にあたる看護師が1.4%、16,867人います。その他、社会福祉施設や、市区町村、企業等で働く看護師もいます。
看護師の就職先
厚生労働省「平成30年衛生行政報告例」
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看護師の仕事内容
看護師の仕事内容は、保健師助産師看護師法という法律で、「療養上の世話」と「診療の補助」と規定されています。「療養上の世話」は、病気や障害によって、食事や排泄、着替え、入浴、移動などができない人を介助・世話することです。看護師が身の回りの世話をすることで、安心して療養することができます。患者の不安を取り除き、相談にのることも仕事の一部です。
「診療の補助」は、医師が行う治療や検査、処置等のサポートです。診断に必要な血圧、体温等の測定・記録を行い、症状や病状を観察して医師に伝えるほか、最近では初診の際の問診を看護師が行うこともあります。採血、注射や点滴や一部の処置も担当します。
介護や医療を受けながら自宅で療養する人のために、看護師が患者さんの自宅に赴いて、介助や世話、診療サポートをする事例が増えています。患者さんの自宅や介護施設なども看護師の重要な仕事場となり、訪問看護ステーションなど、訪問専門の看護師、介護の分野で活躍する看護師も増加しています。
看護師の仕事内容
療養上の世話 | ・食事の世話 ・排泄の世話 ・入浴介助など清潔を保ち、身だしなみを整える世話 ・ベッドメイキングなど環境整備 ・転倒防止など安全を保つ環境の整備 ・治療を続ける上での不安や悩みの相談 ・病気治療、予防の生活指導、家族への指導 |
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医師の診療補助 | ・診断の補助(症状や病状の観察、血圧・体温・脈拍などの測定) ・検査や治療の介助、説明 ・治療や処置の補助(採血、注射、点滴、ガーゼ交換などの処置) ・治療中の異変などを観察 ・医療機器や機材の準備、操作 |
看護師の月給・年収・給料
看護師の給料は、平均の年収が508万1,700円、月給は各種手当て込みで35万2,100円、賞与・ボーナスの平均は85万7,500円です。手当等を含む初任給は26万~27万円ほどで、アルバイトやパートの時給は1,849円が相場です。
平均給与は10人以上在籍している医院・病院などを対象にした厚生労働省の調査(2023年)と日本看護協会「2020年病院看護実態調査」によるものです。
看護師の給料相場 | |
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年収 | 508万1,700円 |
月給 | 35万2,100円 |
賞与・ボーナス | 85万6,500円 |
初任給 | 27万1,730円(大卒者) 26万3,711円(3年制看護課程卒業者) |
時給 | 1,849円 |
「令和5年賃金構造基本統計調査」より、初任給は日本看護協会「2020年病院看護実態調査」より
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適性・向いている人
看護師は、患者さんと関わることが好きで、人に関心・共感が持てることが大切です。多くの専門職とチームを組んで仕事をする点では、コミュニケーション能力や協調性も必要です。医療の最新の知識を持てるような向上心も大事です。そのほか、仕事を続けていく上では、体力や精神力も必要とするため、自分自身の健康を管理する力も不可欠です。
共感力・人への関心
看護師は人と関わる仕事のため、他人に関心を持って、ふれあうことが好きであることは大切です。病気や障害、ケガで苦しむ患者さんに対応する仕事であるため、他人の痛みや苦しみを理解し、共感できる力も必要です。患者の悩みに寄り添って言葉をかけて、不安を軽くすることにも力を尽くす仕事といえます。
コミュニケーション能力・協調性
看護師は医療現場でさまざまな職種の人と一緒に働きます。医師や薬剤師、理学療法士、作業療法士など、専門性を持った人たちと協力し、チーム医療を提供します。そのため、正しくわかりやすく伝えるコミュニケーション能力は欠かせません。また、いろいろな人と働く中では、協調性も大切です。
向上心・勉強熱心さ
医療は日々進歩するため、看護の専門家として、向上心を持って新しい情報や技術にふれて、身につけていくことが重要です。現場でたくさんのことを学び、自分の能力に満足せず、常に勉強し続ける人が向いています。
健康管理能力
病院勤務の看護師は、夜勤があるのが一般的です。仕事中は立ち仕事や素早い移動が多く、体の大きい患者を介助することも頻繁にあります。体力的にも万全でいないと、務まらない仕事です。栄養や睡眠、休息など、自分自身の健康管理をしっかりできることが重要です。また、患者の死や、苦しむ様子を目の当たりにすることが日常であり、精神的な負担も大きい仕事のため、終業後や休日に気持ちをしっかり切り替えるなど、精神的な強さを持てることも大事といえます。
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