臨床心理士とは?仕事内容、就職先などを調査 教えてグッピー | 医療・介護の求人・転職・募集ならグッピー
2023年10月25日更新

臨床心理士とは?仕事内容、就職先などを調査

医療業界で転職をする際には、その職業の専門性や仕事内容など基本情報をしっかりと調べましょう。たとえば、臨床心理士になるためには特別な資格を取得する必要があります。今回の 教えてグッピー臨床心理士 では、臨床心理士の仕事内容や就職先、資格、平均年収などについて詳しく解説します。

臨床心理士の仕事・業務内容

臨床心理士の役割・4つの仕事

そもそも臨床心理士とは、心理学についての専門的な知識を駆使してクライアントの心の問題を解決していく専門職です。日本臨床心理士資格認定協会によれば、臨床心理士の業務は4つに分類されます。まず、「臨床心理査定」です。臨床心理士はテストや面接を通してクライアントの心理状態を探ります。本人が自覚していない悩みや不安を明らかにして、援助の方向性を見定めていきます。

2つ目が「臨床心理面接」です。クライアントの心をサポートするためのプロセスであり、臨床心理士の活動の中心といえます。心理面接の方法はクライアントの状況、年齢などによって異なります。行動療法から芸術療法、集団心理療法にいたるまで、どの方法がもっとも適しているかを判断するのも臨床心理士の務めです。

3つ目が「臨床心理的地域援助」です。自治体や学校など、地域の人々が健康的な心理状態を保つために貢献する仕事を指しています。なお、コミュニティが健全な発展を遂げていくために助力することも、臨床心理的地域援助に含まれます。

そして、4つ目が「調査と研究」です。心理学は常に新しい情報が生まれているので、過去の知識や療法に頼っているだけでは最新の症例に対応できません。また、クライアントやコミュニティの状況も日々変化していきます。心理を学び続ける姿勢も臨床心理士には求められています。

丁寧にクライアントをサポート

臨床心理士が会得しているスキルはさまざまです。かつては、クライアントから長時間にわたって話を聞き出し心理を探っていく「精神分析」がさかんに行われていました。しかし、正確な分析を完了させ効果を出すにはかなりの時間を要するので、最近ではほかの療法が台頭してきています。たとえば、「クライアント中心療法」では、臨床心理士が聞き役に徹します。あくまでもクライアントが自分から内心をさらけだすことを重要視しており、臨床心理士は脇役の立場です。

臨床心理士の職場によっても療法は変わります。学校などで小さな子どもを相手にするときは「遊戯療法」を用いることも少なくありません。遊戯療法では対話ではなく、遊びを通してクライアントの心理に向き合っていきます。そのほか、クライアントにとって身近な人物の協力のもと、「家族療法」を行うこともあります。家族とクライアントのコミュニケーションを分析し、問題点を特定していく療法です。

私立の大学・専門学校は学校ごとに学費が大きく異なりますが、地方に比べると東京や大阪などの都市部で学費が高い傾向があります。また、教材費や実習費が別途必要になる学校もあります。多くの学校では奨学金制度があります。

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臨床心理士の就職先とは

臨床心理士の活動領域は、教育、医療、司法、福祉、産業など多岐にわたります。心のケアや心理的なサポートに対する重要性が認知されるとともにニーズも大きくなっており、今後もさらに広い分野に広がっていくことが期待されます。ここでは各分野での主な業務について紹介します。

医療・保険機関

多くの臨床心理士は医療や保健機関に勤めています。そこで問題を抱えたクライアントに向きあい、一緒に解決策を探っていくのが主な業務となります。これらの職場では、クライアントが臨床心理士のもとに通う形態をとることが一般的です。そのため、さまざまな職業、年代の人々が集まってくるのが特徴です。一方、内科や外科の患者さんに対処を行うケースも少なくありません。これらの場合では、カウンセリングなどの結果を主治医に伝えるまでが仕事です。

学校・教育施設

教育機関で働く場合は「スクールカウンセラー」と呼ばれ、主に生徒や教員、保護者の面接相談にあたります。また、問題の見方、かかわり方などを検討して、アドバイスを行います。問題によっては関係者の話し合いの場を設けたり、方向性を話し合います。

企業や組織

メンタルヘルスについて世間の関心が高まるにつれ、カウンセラーとして臨床心理士を雇う企業や組織も増えてきました。実際、過剰労働や人間関係などが原因となって、心の問題を抱える社会人は増えています。こうした分野で働く臨床心理士には問題の解決だけでなく、回復した後のアフターフォローも求められます。

大学・研究機関

大学や研究所に籍を置いて活動する臨床心理士も少なくありません。これらの職場では、心理学についての研究や調査が主な業務となります。そして、将来的には後輩や部下を育てられる教官としての役割を担います。ただ、学生や教員へのカウンセリングも並行して行うケースもたくさんあります。

福祉領域・司法領域

児童相談所などの福祉領域でも臨床心理士は必要とされるようになりました。少年院や刑務所で受刑者と接するケースもあります。複雑な家庭の出身であったり、心に傷を負ったりした人々には早急な精神面のケアが大切です。一般の職員では対応しきれない心の問題と、臨床心理士は向き合っています。

臨床心理士の雇用形態とは

常勤、非常勤などのさまざまな雇用形態で、臨床心理士は社会を支えています。なお、司法領域で働く際には臨床心理士も公務員扱いとなることが一般的です。

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臨床心理士になるためには

どこで学べば臨床心理士になれるか

日本臨床心理士資格認定協会の資格試験を受け、合格することで臨床心理士になることができます。ただし、誰もが受験資格を持っているわけではなく、国に指定された大学院・専門職大学院の修了資格を持っているなど、条件が定められています。そのほか、海外において指定大学院と同等の学歴を持っている人も受験可能です。ただし、その場合は国内での心理臨床経験を2年以上積まなくてはいけません。すでに医師免許を取得している人にも受験資格はあるものの、やはり国内で2年以上の心理臨床経験が必須です。

なお、通信制の大学院で臨床心理士の勉強ができるところもわずかながら存在します。通信制だと他の仕事をしていたり、家庭の事情でなかなか通学の時間を割けなかったりする場合でも便利です。ただ、通信制であっても何日かはスクリーニングといって、通学しての授業を受けなくてはいけないので注意しましょう。スクリーニングの日数は3年間で30~40日ほどです。スクリーニングを怠っていると受験資格をもらえないため、日程調整が大切です。

試験は難しい?合格率とは

臨床心理士の試験は一次と二次に分かれています。一次は筆記試験であり、100題のマークシート問題と論述問題です。試験時間は合計4時間で、いずれも同日内に実施されるのが恒例です。問題の内容は、臨床心理士の基本的な業務内容が大半です。面接や心理査定の方法を正しく理解しているかが問われます。一方で、臨床心理士が知っておくべき法律の知識や仕事への姿勢についても確認させられます。出題範囲は広く、深い知識量が求められる試験だといえるでしょう。

一次試験を通過した受験者だけが二次試験へと進めます。二次試験では2人の面接官から人間性やプロとしての資質を見極められます。また、臨床心理士にとって重要である人間関係を構築する力も評価される試験です。二次試験が終わると、合否が発表されます。

臨床心理士の試験の合格率は例年60~65%ほどです。そのため、決して「狭き門」といえるほどの難易度ではありません。それでも受験者の4割近くは毎年不合格となっているので、医療系の資格の中でも十分な対策が必要とされる難易度です。合格した人は資格認定証書の交付手続きを所定期日までに行い、日本臨床心理士資格認定協会から資格認定証書を発行してもらいます。そうして、正式に臨床心理士を名乗れるようになります。

平均年収はおよそ400万円

臨床心理士の活躍の場は、医療福祉分野のほか学校教育の現場、企業と多岐にわたります。フルタイムで働く臨床心理士の平均年収は約420万円、初任給は約290万円、月給は約30万円が相場です。

ただし、臨床心理士は非常勤という形で複数の職場を掛け持ちすることも可能です。複数のカウンセリング依頼とセミナー講師などの副業を合わせて担当することで、高収入も目指せます。

また、医療機関に勤めている臨床心理士よりも職業安定所や司法領域などで公務員として働いているパターンのほうが、収入が高くなる傾向にあります。たとえば、刑務所勤務の臨床心理士は年収が600万円以上になることも珍しくありません。退職金が多く払われるなど、待遇がよいのもメリットです。ただ、公務員となるには公務員試験を受験し合格しなければいけません。また、職場によっては経験や実績を求められることもあります。

臨床心理士の給料相場
年収約420万円
月給約30万円
賞与・ボーナス60~80万円
初任給約23万円
時給2,000~3,000円

令和3年賃金構造基本統計調査「その他の保健医療従事者」の給与より

適性・向いている人

臨床心理士の仕事はクライアントの精神的健康に密接に関わるため、いかなる場合も丁寧なコミュニケーションが必要となります。また臨床心理学は発展が著しく、新しい技術、隣接する学問分野の知見の習熟など、スキルの研鑽が当たり前に求められます。ここでは臨床心理士を目指す上で意識してほしい素養について紹介します。

コミュニケーション能力

臨床心理士にとってコミュニケーションスキルは非常に重要です。多くの医療系職種に言えることですが、クライアント一人ひとりの固有の課題を捉えるためには信頼関係を築くためにも会話によるコミュニケーションは欠かせません。一口にコミュニケーションといっても、さまざまな要素があります。傾聴スキル、言語化スキル、観察スキルに加え、忍耐力や共感力などが必要になることもあります。現時点で全てを備えている必要はありませんが、コミュニケーションに苦手意識があったり煩雑さを感じている人は、臨床心理士に向いているとはいい難いでしょう。

向上心

臨床心理士には向上心も求められます。この分野は新しい技術や研究成果が生み出されます。学生のときに学んだ知識のままではすぐに医療の進歩に遅れてしまいますから、臨床心理士になった後も知識をどんどん刷新していかなくてはいけません。協会は臨床心理士に「生涯学習」を求めています。臨床心理士は資格の更新制度があり、5年毎に資格の再認定を受ける必要があります。こうした環境において、新しい知識や技術を身につける向上心や柔軟性は臨床心理士に欠かせない素養といえます。

倫理観

臨床心理士には患者の心の課題を扱う性質上、高度な倫理観が求められます。患者の中には反社会的・非倫理的な課題を抱えている場合もあるかもしれませんが、それに対して通念的な社会正義や倫理観を押し付けるだけでは、なんの解決にもならないだけでなく、かえって問題を硬直化させるかもしれません。どんな患者であってもその利益のために、基本的人権を尊重し、差別や先入観を排除してコンサルテーションを実施できる倫理観が重要になるのです。

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