公認心理師の年収・月収・賞与(ボーナス)などを調査
公認心理師の活躍の場は幅広く、主に「保健医療」「福祉」「教育」「司法・犯罪」「産業・労働」の分野があります。活動分野によって仕事内容や就業条件が異なり年収にも差が見られますが、一般的な金額帯は300万円~500万円、月収は20~25万円です。勤務年数で給料の傾向を見ると、経験10年以上になると、10年未満の平均給与と比べ高い傾向があります。また公認心理師は、司法・犯罪の分野などで公務員として働く機会が多くありますが、公務員は民間で働く場合と給与の上がり方が異なる傾向があります。
公認心理師の給料相場 | |
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年収 | 300~500万円 |
月給 | 20~25万円 |
時給 | 1,500円〜2,500円 |
令和2年「公認心理師の活動状況等に関する調査」より
今回の 教えてグッピー公認心理師 では、公認心理師の年収、経験年数別の年収および月給、時給の傾向をご紹介します。
目次
公認心理師の初任給
公認心理師の初任給として公式のデータはありません。参考値として厚生労働省の賃金構造基本統計調査「その他の保健医療従事者」(経験年数0年、20~24歳)の項を見ると23万800円です。年収に換算するとおおよそ278万600円です。これはあくまで常勤での金額になります。
公認心理師の年収
公認心理師はさまざまな分野で活動できる資格なので、勤務先、雇用形態等によって年収は異なってきます。一般的には300万〜500万円程度となります。金額帯としては300万円以上400万円未満の割合がもっとも高く、次いで400万円以上500万円未満の割合が高くなっています。
公認心理師の年収(2019年度) 金額帯ごとの割合
令和2年「公認心理師の活動状況等に関する調査」より
分野別の年収
一般社団法人日本公認心理師協会による「公認心理師の活動状況等に関する調査」を参照すると、公認心理師の年収は、活動する分野によって金額帯に差が見られます。「保健医療」「福祉」「教育」分野では300万円以上400万円未満、「産業・労働」分野では400万円以上500万円未満、「司法・犯罪」分野では500万円以上600万円未満、「その他」の分野では1,000万円以上の割合が高い傾向があります。なお「その他」の分野での具体的な職場としてあげられるのは大学や研究所などです。
常勤と非常勤の年収比較
以下は、常勤で働く人、非常勤で働く人の年収を比較したグラフです。常勤では300万円以上400万円未満が20.7%、400万円以上500万円未満の割合が20.6%の結果となり、4割以上の人が300万円~500万円の間の年収であることがわかります。非常勤では200万円以上300万円未満の割合が25.1%でもっとも高い割合となっています。
常勤と非常勤の年収比較
令和2年「公認心理師の活動状況等に関する調査」より
勤務年数別の年収
公認心理師の年収を、勤務年数「10年未満」または「10年以上」に分けて見ていくと、勤務年数が10年未満の人は300万円〜400万円、10年以上の人では400万円〜500万円の割合が高くなっています。業務内容や雇用形態によっても変わってきますが、全体的に経験豊富であるほど年収は高い傾向があるようです。
勤務年数別 年収(10年未満/10年以上)
令和2年「公認心理師の活動状況等に関する調査」より
公認心理師の月収
以下は、公認心理師の月給について金額帯ごとの割合を分野別に見たグラフです。保健医療分野と福祉分野は20万円以上25万円未満の割合が高く、教育分野は20万円未満の割合が高いです。司法・犯罪分野は25万円以上35万円未満と少し高めになります。なお司法・犯罪分野では、勤務年数10年以上の場合「50万円以上100万円未満」など月給の高い金額帯の割合が他分野より高く、この分野に多い公務員の給料や昇給体系の特徴が反映されていると考えられます。
分野別 公認心理師の月給
令和2年「公認心理師の活動状況等に関する調査」より
このように公認心理師の月給は活動分野によって違いがあります。また年収の項目で述べたとおりキャリアを重ねるほど給与が上がりやすいため、自身の専門性や経験・スキルが給料に反映されやすい専門職だと言えます。
公認心理師の時給
全体的にはどの分野も1,500円〜2,500円の金額帯が一般的だと言えます。分野別の特徴を見ると教育分野は4,000円~5,000円の割合が高く、これは都道府県が雇用する非常勤スクールカウンセラーの時給水準を反映していると考えられます。また勤務年数別では年収および月給と同様に、経験年数が10年以上のベテランになるほど給料が高い傾向があります。
それ以上の金額帯ではどの分野も一定数、9,500円以上の割合が見られ、全体としては1,500円〜2,500円、4,000円~5,000円、9,500円以上の3つの金額帯が目立ちます。基本業務が中心の層、基本業務プラス展開業務や専門性を有する層、より質の高い仕事をし高い専門性を有する層というような段階に応じて時給アップが見込めると考えられます。
公務員の給与
公認心理師の専門的な活動を公務員として担うのは国家公務員と地方公務員です。国家公務員は警察庁の犯罪心理の研究、法務省厚生労働省での矯正心理専門職や保護観察官といった職に就きます。一方、地方公務員は地域の公立病院や福祉施設での利用者のカウンセリングや支援といった地域に根付いた働き方をするケースが一般的です。どちらも公認心理師の資格以外に公務員試験の勉強も必要です。
国家公務員、地方公務員ともに職種や勤続年数、ボーナスに関してはその年の人事院勧告によって変動します。給与の参考として令和4年国家公務員給与等実態調査によると「国家公務員の一般職行政職俸給表 (一)」では平均月収は40万5,049円、年収で計算すると約670万となります。地方公務員は35万8,878円となっており、ボーナスを含めて約570万円となります。
手当・福利厚生
月々の給料とは別に働く人やその家族に対しての支援である福利厚生。雇用形態や就業条件によって異なってきますが、社会保険や通勤手当、住宅手当などのさまざまなものがあります。「法定福利」である健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険、介護保険と「法定外福利」である、住宅手当、通勤手当、有給休暇、資格取得支援、出産・育児休暇などがあります。近年では基本的な就業条件とともに福利厚生の充実度も注目されるようになってきています。