臨床工学技士になるには 資格の取得方法や仕事内容
臨床工学技士とは、医療機器の安全性の確保やメンテナンスを行う医療機器の専門家です。臨床工学技士になるには、臨床工学技士の国家試験に合格し、免許を取得することが必要です。国家試験は、年1回、3月上旬に実施され、3月下旬に合格発表があります。臨床工学技士の養成校で所定の専門課程を修了するか、医療系専門職の学校で2年以上修業し、指定科目を修めたあと、臨床工学技士養成校にて1年以上所定の専門課程を修了などして、受験資格を得ることができます。
国家試験の合格率は毎年70〜80%台を推移しています。
目次
臨床工学技士に必要な試験・資格
臨床工学技士になるには、臨床工学技士の国家試験に合格することが必要です。臨床工学技士国家試験の受験資格を得るためには臨床工学技士養成校で所定の専門課程を修了すること、もうひとつは医療関係の研修施設あるいは養成所にて2年以上修業し、所定の単位を取得している場合は、臨床工学技士養成校の専攻科にて、所定の専門課程を修了する等して、受験資格を得る必要があります。
国家試験は年1回、3月上旬の日曜日に行われます。受験科目は『医学概論』『臨床医学総論』『医用電気電子工学』『医用機械工学』『生体物性材料工学』『生体機能代行装置学』『医用治療機器学』『生体計測装置学』『医用機器安全管理学』の9科目から1問1点で全180問出題され、合格基準は108点(正答率6割)以上です。
臨床工学技士国家試験の合格率は、70〜80%台で推移しています。直近で実施された2023年の受験者は2,706人、合格者は2,311人、合格率は85.4%でした。国家試験の中では比較的合格率が高いため、しっかり努力すれば取得可能な資格と言えます。
臨床工学技士国家試験の合格者数と合格率
厚生労働省発表資料より
臨床工学技士を養成する大学・学費
臨床工学技士の養成所数は2022年10月時点で文部科学大臣が指定した学校又は都道府県知事が指定した臨床工学技士養成所(3年以上)が47校、文部科学大臣が指定した学校又は都道府県知事が指定した臨床工学技士養成所(1年以上)が10校、厚生労働大臣指定科目を修めて卒業できる大学が32校の合計89校あります。
それぞれの学校の学費は、4年間の合計で国公立大学は243万円程度、私立では340万円〜800万円程度かかります。専門学校は年間100万〜150万円程度で、2年制、3年制などあるためその分の学費が必要になります。
臨床工学技士の就業先
臨床工学技士の就職先は、主に医療機関や病院などの医療施設などです。医師の指示のもと、医療機器の管理や保守を行い、病気の診断や治療に必要な装置を正確に作動させる重要な役割を担います。
その他にも、新しい製品の導入、トレーニング、技術サポートを提供する医療機器メーカー、顧客への販売、導入提案、サポートやデモンストレーションを行う医療機器販売会社への就職もあります。また大学・研究機関にて教育や研究に従事することもあります。
臨床工学技士の仕事内容
臨床工学技士は、医療現場において医療機器の選定や評価、設置、操作方法の指導、トラブルシューティング、メンテナンス、修理、安全管理などの業務を行います。主に病院や医療機関で働き、医療機器の適切な使用と維持管理に責任を持ちます。医療機器の専門知識や技術を持ち、患者さんの安全と適切な医療環境を確保するために医療現場では重要な役割を果たしています。
医療機器の種類は多岐にわたり、例えば、人工呼吸器、体外循環装置、腎臓透析機器、各種カテーテル、ペースメーカー、手術支援システムなどがあげられます。医師・看護師や各種の医療技術者とチームを組んで、これらの機器の正しい操作方法を指導、あるいは実際に操作を行います。近年、医療機器も開発が進み、最先端の知識と技能をもちあわせ、医療従事者や患者の治療サポートを行います。
臨床工学技士の月給・年収・賞与
平均年収が443万3,300円、月給は各種手当込みで31万3,100円、賞与・ボーナスの平均は67万5,800円となっています。初年度の年収はおおよそ278万円程度で、そこから50歳代にかけて500万円超まで年収が増加していく傾向にあります。
なお、臨床工学技士の給与水準は公的に発表されているものがないため、厚生労働省が発表する、令和4年賃金構造基本統計調査の「その他の保健医療従事者」の項を参照して紹介します。
臨床工学技士の年収相場
年収 | 443万3,000円 |
---|---|
月給 | 31万3,100円 |
賞与・ボーナス | 67万5,800円 |
初任給 | 23万800円 |
時給 | 1,745円 |
「賃金構造基本統計調査」その他の保健医療従事者より
臨床工学技士の適性・向いている人
臨床工学技士は、医療機器の専門知識と技術を持ち、患者さんの安全と医療機器の正常な機能を確保するために、各種機器の点検、メンテナンス、修理、トラブルシューティングなどを行います。人の生命にかかわる役割を担うため、常に多くの知識が必要とされ、また最新の技術にも常時アンテナを張っておく必要のある職種です。そのため、技術に対する知識に興味をもち、常に学習する姿勢が重要です。また医療現場のスタッフや患者さんとコミュニケーションが取れる人が向いています。
技術や最新機器に興味を持つ人
臨床工学技士は、医療機器や装置の操作、トラブルシューティング、保守、修理などの技術的なスキルを持っている必要があります。技術的な能力を向上させるための継続的な学習と興味を持つことが重要になります。
綿密さと注意力がある人
臨床工学技士は、患者さんの健康状態を評価し、医療機器の使用方法を管理する責任があります。そのため、綿密な観察力と注意力が求められます。細部に注意を払い、患者の状態や装置の機能について正確な情報を把握することが重要です。
コミュニケーション能力、チームワークを持てる人
臨床工学技士は、医療チームの一員として働きます。他の医療専門職や患者さんと円滑にコミュニケーションを取る必要があります。患者さんに対しては、状態を確認するために、日常的な会話を通して健康状態を確認します。
責任感がある人
臨床工学技士は、患者のプライバシーや安全性に関わる重要な役割を果たします。倫理感を持ち、患者の権利と福祉を尊重する姿勢が求められます。
ストレスをうまく対処できる人
急性期の医療現場などでは、日常的に緊張感のある状況にあります。臨床工学技士は、ストレスに対処し冷静な判断をする必要があります。ストレスに強く、問題解決能力を発揮できる人は、臨床工学技士としての役割に適しています。