言語聴覚士になるには?必要な学歴や資格取得の学費、仕事内容
言語聴覚士になるには、言語聴覚士国家試験に合格する必要があります。言語聴覚士国家試験を受験するためには、言語聴覚士養成施設で少なくとも2年間カリキュラムを履修する必要があります。高校を卒業後に、言語聴覚士を養成する大学・短期大学・専修学校に入学する場合は3~4年間、また一般の4年制大学を卒業後であれば2年間の履修期間が必要です。
言語聴覚士国家試験は年に1回、2月に実施されます。合格率はおよそ70%で、十分な準備が必要です。
今回の 教えてグッピー言語聴覚士 では、言語聴覚士になるために必要な資格・試験、学校や養成校、資格取得後の就職先、仕事内容、平均的な年収・給料などについて解説します。
目次
言語聴覚士に必要な資格・試験
言語聴覚士国家試験の受験資格を得るためには主に2つの方法があります。
一つは高校卒業後に、3~4年制の言語聴覚士養成所に入学して卒業することで受験資格を得る方法。もう一つは一般の4年制大学卒業後に、2年制の養成校に入学することで受験資格を得る方法です。
また、外国で言語聴覚士に関する学業を修めたと認められる場合は、厚生労働大臣の認定を経て受験資格が取得できます。
言語聴覚士の試験は年1回、例年2月下旬に実施されており、合格発表は3月下旬です。言語聴覚士国家試験の合格率は約70%です。合格基準は、総得点の6割以上(200点満点中120点以上)です。
言語聴覚士国家試験の合格者数と合格率
言語聴覚士になるための大学・養成校
言語聴覚士の養成校は、入学前の学歴によって履修期間が異なります。運営はほとんどが私立のため卒業までの費用は学校ごとに異なりますが、
2022年現在、言語聴覚士養成施設は全国に73校あります。
学費が安い国公立は、国立障害者リハビリテーションセンター学院と県立広島大学の2校のみです。いずれも2年制のため4年制大学を卒業している場合に限りますが、卒業までの費用は100~150万円と私立に比べて少ない費用で卒業できます。
上記はあくまで入学と授業料にかかる費用で、教材費や実習費が別途必要になる場合もあります。多くの学校で奨学金が用意されています。
学校・養成校の卒業までの学費
学校 | 運営 | 費用 | 備考 |
---|---|---|---|
2年制 | 国公立 | 100万~150万円 | 一般の4年制大学卒業後 |
2年制 | 私立 | 340万円 | 一般の4年制大学卒業後 |
3年制 | 私立 | 460万円 | 高校卒業後 |
4年制 | 私立 | 580万円 | 高校卒業後 |
言語聴覚士の就職先
言語聴覚士の多くは医療施設で働いています。2021年3月の統計では言語聴覚士の67.0%が医療施設での勤務です。その次に多いのは、介護老人保健施設(老健)・特別養護老人ホーム(特養)の20.2%、福祉施設に7.3%です。その他として、特別支援学校や養成校職員、研究機関などが5.5%となっています。
日本言語聴覚士協会HPより
仕事内容
言語聴覚士は「話す、聞く、食べる」のスペシャリストです。事故や病気、発達上の問題などによって、言語、聴覚、発声・発音、認知などの機能が損なわれてしまうことがあります。たとえば、うまく話せない・文字が読めないなどの言語障害、声が出にくいなどの音声障害、うまく噛めない・飲み込めないなどの嚥下障害などです。
こうした患者さんに対して、訓練や指導によって機能を改善させることはもちろん、患者さんと豊かなコミュニケーションがとれるようにご家族に対しても支援します。言語聴覚士はコメディカルスタッフとして、医師や看護師、作業療法士などのリハビリスタッフと連携して、チーム医療によって患者さんとそのご家族を支援します。
月給・年収・給料
言語聴覚士の平均年収は426万5,400円です(2021年、10人以上の組織、理学療法士 ・作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士の給与より)。過去16年間では微増傾向です。規模別に見ると、1,000人以上の組織が一番高い給料となっています。年齢に伴って上がり続けますが、50代半ば以降は減少に転じることが多いようです。
言語聴覚士の給与
年収 | 426万5,400円 |
---|---|
月給 | 29万6,800円 |
賞与・ボーナス | 60~80万円 |
時給 | 2,000~3,000円 |
初任給 | 23万200円 (20~24歳で就業経験0年の言語聴覚士の平均月給) |
(「令和3年賃金構造基本統計調査」より)
適性・向いている人
言語聴覚士は他の多くのリハビリ職と同様、患者さんとのコミュニケーションが重視されます。また、言語障害や聴覚障害をもつ患者さんの気持ち、伝えたいことを感じ取れる観察力が大切です。さらに、働きながらスキルアップをしていく向上心も求められます。
コミュニケーション能力
リハビリ職全般に言えることですが、言語聴覚士の適正で最も重要なものの一つはコミュニケーション能力です。事故や病気のために落ち込んでいてリハビリに対する積極性があまりない患者さん、認知機能が低下している患者さん、話すこと自体が苦手な患者さんもいます。こうした患者さんに効果的なリハビリを施行するうえで、対話や傾聴をしながら信頼関係を構築できるコミュニケーション能力が大変重要なのです。
観察力
言語聴覚士は患者さんのことを観察する力が重要です。患者さんの多くは言語障害や聴覚障害を有しており、コミュニケーションが困難な場合も少なくありません。言葉以外にも、表情やしぐさなどから要望や伝えたいことを即応的にキャッチアップできると、治療や信頼関係の構築に役に立つでしょう。
向上心
言語聴覚士にとって、国家試験合格後も学ぶ姿勢が大切です。多くの職種と同様、養成校で学ぶ知識や技術はスタート地点に立つためのものです。患者さんへのリハビリやコミュニケーション手法については、働きながら先輩や同僚から学び続けていく必要があります。医療技術は今後もこれまでと同等以上のスピードで進歩することが予想されており、このスピードについていける向上心が求められます。